出雲から広島までの陰陽連絡を担うのはバス一択ってマジ？　みこと号がそれを証明!!

■降車休憩

　「道の駅たかの」は2分ほど停車した後に出発した。再び松江自動車道に入り広島に向けて南下を続ける。三次東ジャンクションからは中国自動車道に入り三次市の三好インターバス停に到着した。すぐ目の前には同じ一畑バスが停車していたが、松江から広島に向かっているグランドアロー号のようだ。

　時刻表を確認すると、ほぼ同じ時間にやってくるようで、以降は並走することになりそうだ。三次インターを出たバスは広島市へ向かう。この先10分ほど走行した江の川パーキングエリアで降車休憩だ。

　唯一の降車できるポイントで、周辺を見渡してみるがパーキングエリアというだけあり設備は最小限である。以前はここにも店舗があったように記憶しているが、店舗があったと思われる建物のシャッターは下ろされ、隣には自動販売機が数台置かれていた。

　見ると「西日本高速道路初　お土産自販機」とあり、菓子・パン類の自販機と広島や近隣地区のお土産が並んだ自販機、そしてアイスクリームの自販機にブレンドコーヒーの自販機と4台が並んでいた。

　なんとも殺風景で寂しい感じを受けたが、営業時間を問わず購入可能だが、日中に立ち寄るにはありがたみを感じない。しかし全日を通して考えると重宝できるスポットなのかもしれない。また高速道路といえば祈念スタンプもちゃんと設置されていた。

　そしてバスに乗り込むと、先行の松江からの高速バスも同地に停車しているので、並びを見ることができた。行き先表示も「広島駅新幹線口」と同じなので誤乗車しそうだが、筆者が乗車したバスには前面に「出雲→広島」という表示が置かれていて、確認ができるようになっていた。乗車時に目が行く場所に表示があるので確認しやすい配慮だ。

■広島市内

　10分ほどの休憩を行い江の川パーキングエリアを出発した。特に渋滞という箇所もなく順調に走るみこと号は山間の中を走行していく。すっかり青空の広がった下、やや遅めの紅葉を眺めながらの乗車はとても気持ちいいものであった。

　広島市内に入ると広島自動車道・広島西風新都インターチェンジで一般道に下りて次のバス停を目指す。次は大塚駅で、新交通アストラムラインの駅である。降車する人がいなかったので通過となった。

　その後、広島高速4号線を経て城南通りに入ると広島バスセンターはもうすぐだ。広島バスセンターには定刻より4分、そして終点の広島駅新幹線口には2分ほど早着となり、ほぼ時刻表通りの運行だった。トランクから荷物を受け取り駅へ向かった。

■理想と現実は合致しないが…

　今回は都市間を結ぶ高速バス「みこと号」で出雲市から広島市までの様子をお届けした。3時間を超える乗車時間でどう時間を使おうかと思ったが、車窓に広がる山々の紅葉がとても綺麗で何度もシャッターを切ったほどだ。例年ならばすでに終わっているはずなのだが、色付きが遅かったおかげでいい景色を楽しむことができた。

　また振り返ってみて思うのはやはり、休憩場所や停留所となった道の駅の関係だ。高速バスは目的地へ向かうのがそもそもの使命なので途中の休憩場所というのはトイレ休憩などのために設けられている。よってグルメやお土産を買うのはやや方向性が違うのは言うまでもない。

　ただこれほど利便性がよく乗車率もいいバスが道の駅を素通りしていくというのはもったいない。「道の駅」というのはドライバーが24時間利用できる「休憩機能」、道路や観光情報など提供する施設としての「情報発信機能」、道の駅を起点とし地域振興を目的とした施設としての「地域連携機能」の3つの機能を基本コンセプトとしている。

　行き先が目的地であるのはもちろんだが、やがては高速バスで道の駅を巡る、という使い方もなかなか興味深い。もっとも、運転士の法定休憩時間を遵守するためにはハンドル時間により休憩場所を決定しなければならないので、理想と実際との乖離は仕方のないところだろう。

　みこと号に限らず停留所や休憩場所を工夫したり、途中降車も可能なフリーきっぷを設定したりと、様々な可能性を探りいつの日か道の駅が高速バス利用の目的になり得るバス旅が実現できることに期待したい。

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