2025年が始まった。今年の干支は巳である。なんでも蛇は脱皮を繰り返して成長していくことから「復活と再生」を意味し縁起の良い年らしい。新しいことを始めるのには良いということで、今年もさらなる成長と前進で執筆に取り組んでいきたい。今回は都市間を結ぶ高速バス「みこと号」について紹介する。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
(詳細写真は記事末尾の画像ギャラリーからご覧いただくか、写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)
■鉄道は陰陽連絡に向いていない?
乗車地は島根県出雲市だ。島根県の中部にあり東側には宍道湖、西側には日本海を望む。出雲市といえば出雲大社である。縁結びの神様「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を御祭神としており、毎年11月の「神在月」の頃になると、日本各地の神々が出雲大社に集まるとされている。毎年多くの参拝客が訪れ、縁結びの御神徳として人気のスポットだ。
出雲市がある山陰から山陽へ抜ける高速バス路線がいくつが運行されている。筆者は出雲市と広島市を結ぶ高速バス「みこと号」に乗車した。この日は朝から曇天という冷えた日となり、寒さが身に染みる。早めに昼食を済ませて出雲市駅のバス乗り場へ向かうと、バスがロータリーに入ってきた。みこと号である。
みこと号は出雲市駅から広島駅新幹線口までを約3時間20分で結ぶ。1日9便(運休便を含む)の一畑バスと中国ジェイアールバスの共同運行だ。島根県から広島県へ向かうには鉄道という方法もあるが、陰陽連絡線は西に行くほど概して本数が少なく、相当な時間がかかるため移動手段には向いていない。
そういうこともありバスの乗車率はなかなかいいようだ。今回乗車した便も7割ほどが埋まっていて、需要の高さを感じる。座席はトイレ付き4列シートである。座席自体はスタンダートな感じで、シートの硬さも長距離乗車でも疲れにくいようしっかりとした印象を受けた。
肘置きもシンプルな構造となっているほか、前面にはカップホルダーに荷物フック、肘置き下にはUSBポートが設置されていて、携帯電話等の充電が可能だ。
■無料区間の高速道路
予定の時刻となりバスは出雲市駅を出発した。バス停にいた人よりも多くの乗車があったが、このバス乗り場前にあるホテル1階に高速バスの乗車券販売窓口があり、このアトリウムでバスがやってくるのを待っていたようだ。市街地を抜けると川沿いの堤防道路を走る。
30分ほど走ると最初の停留所である下熊谷バスセンターに到着した。ここは出雲市に隣接する雲南市で、距離としては近いのだが一般道を来る方が早いようだ。
ここからいよいよ高速道路へ入る。下熊谷バスセンターの隣が三刀屋木次インターなのでアクセスがいいようだ。また松江自動車道の三刀屋木次インターから南方向、三次方面が無料区間で、ここからの利用が都合がいいのかもしれない。
■休憩場所にはいいのだが…
松江自動車道に入ったバスは順調に走行する。次の停車は、たたらば壱番地バス停である。ここは道の駅「たたらば壱番地」の駐車場に設置されたバス停である。停留所の表示を見ると高速バスのほか、雲南市民バス、飯南町営バスという文字が確認できた。周辺市町からこのバスを利用できるようにここにも乗り入れているようだ。乗車はなくバスは出発していった。
ここまではほぼ定刻で走行できているようだ。次の停留所は道の駅たかの。同様に「道の駅たかの」の敷地内に置かれたバス停で建物の目の前にバス停が設置されているようだ。ただし「たたらば壱番地」は建物から離れた駐車場の一角だったのに対して、「道の駅たかの」は店舗の目の前にバス停があるので、道の駅を行き交う人に見られながらというシチュエーションだ。
しかも買い物やソフトクリームなど食べ歩きしながらという光景を見てしまうと、なかなか羨ましいものがある。
降車休憩場所ではないので降車できるわけではない。都市間高速バスとして途中の休憩場所というのは、あくまでも旅客のトイレ等の休憩および乗務員の休憩と車両点検の為であり、ロケーションに重きを置いていないのは分かるが、道の駅に立ち寄るというのならば、ここで休憩してほしい場所だ。