そこでしか売っていないものが最大のお目当てになり得る「道の駅」。大抵マイカー向けの施設ではあるものの、公共交通機関のアクセス手段だって最低限用意されているのでは?……そのあたりどうなっているのか、全国道の駅の公共交通カバー率を調べてみようと考えた話の第5回目。
文・写真:中山修一
(沖縄県にある「道の駅」の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■沖縄県の「道の駅」事情はいかに?
2025年1月現在のところ、全国に1,221カ所(駅)もの道の駅が登録されている。1回ではまとめ切れないため、都道府県別に分けてリサーチを進めていくことにして、今回は南の島・沖縄県にある道の駅を見てみよう。
沖縄県で営業中の道の駅は合わせて10駅。観光需要が盛んな沖縄県だけに、そこかしこに道の駅が用意されていて、膨大な数に及ぶイメージを持っていたのに反して、現時点ではかなりの少数精鋭だった。各施設の名称を記すと……
(1)許田
(2)おおぎみ
(3)ゆいゆい国頭
(4)かでな
(5)喜名番所
(6)豊崎
(7)いとまん
(8)ぎのざ
(9)サンライズひがし
(10)やんばるパイナップルの丘 安波
……の内訳になる。
■沖縄県道の駅の公共交通機関カバー率しらべ
上記のデータを踏まえて、それぞれの道の駅の近くにモノレールの駅やバス停などの乗り場が置かれているかをマップで確認。
道の駅施設から実距離で周辺300mの範囲を「最寄」に見立てて、それより遠い場所はアクセス手段の対象外とした。結果には上記の道の駅に割り振った番号に、最寄駅やバス停などの名称を記してある。
【モノレールあり】0/10駅 0%
【バスあり】10/10駅 100%
(1)道の駅許田
(2)道の駅おおぎみビジターセンター
(3)奥間ビーチ入口、道の駅ゆいゆい国頭
(4)嘉手納町運動公園入口
(5)喜名
(6)道の駅豊崎
(7)道の駅いとまん前ほか
(8)道の駅ぎのざ
(9)道の駅サンライズひがし
(10)道の駅パイナップルの丘安波
【公共交通なし】0/10駅 0%
沖縄県にある道の駅の公共交通(バスの)カバー率は100%とパーフェクト! 人口密集地帯には道の駅が少ない(あるいはゼロに近い)法則は他の地域と似ているようで、都会を通るモノレール沿線には道の駅が1カ所もない、という結果が出た。
また、バス停の名称に「道の駅」が付く場所は8/10カ所。分母の数が少ないのもあるが80%と、なかなか高めな「道の駅」命名率と言えそう。
例によってバスの運行ダイヤまでは考慮に入れていないので、バスありの場所でも、実際にバスを使って無理なく行けるかどうかはまた別の話。(9)と(10)はちょっと工夫が要るかもね……。
■1カ所選んで行ってみる
第5回目、沖縄県はどの道の駅へ行ってみるか……バスに乗っている間に道の駅の前を数カ所通ったのは前回同様で、その中から降りて簡単に様子を見に行けそうな、ちょうどいい場所にあったのが「ゆいゆい国頭(くにがみ)」だった。
「ゆいゆい国頭」は、1999年8月の第15回目に登録・追加された、全国81カ所(当時の合計で551カ所)の道の駅の一つ。国頭郡国頭村奥間にあり、沖縄県で最も北に位置した道の駅になっているのが特徴。
沖縄本島の北部は交通が細い地域と言えるが、道の駅が置かれている場所までは、30kmほど離れた名護バスターミナルから路線バスが出ている。出発地になる名護までは、那覇からのバス路線が充実していて難なく行ける。