普段は水と油の関係という設定にされやすい電車とバス。たまには両者手を取り合う形で、電車/バスを交互に乗り継いでいったら最終的(96時間後)にどこへ辿りつけるのかを検証してみた3回目。今回は三重県の通り抜けに挑戦だ。
文・写真:中山修一
(電車バス交互乗り継ぎチャレンジのフッテージ写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■三重に来たならあのバスに乗れ!?
神奈川県の横浜駅をスタート地点に、電車/バスを交互(船を挟むのは可)に乗り継ぎながら、横浜〜豊橋、豊橋〜鳥羽と、それなりに観光要素を混ぜつつダラダラと進んできた3日目。
3日目にどの方向へ行くかは前日の伊勢湾フェリー乗船中に目星を付けていた。三重県といえば全国的にも相当珍しい、一度に100km以上の距離を、鉄道の線路と一部並行するようにして走る、高速道路を通らない普通の路線バスが運行している注目バススポットだ。
三重交通による「松阪熊野線(愛称:熊野古道ライン)」がそれにあたる。このバスは松阪駅前〜熊野市駅を経由して、バスの車庫がある三交南紀までを結ぶ路線。130kmほどの距離を4時間以上かけて走り、一般路線バスの中でも乗りごたえ溢れる1本である。
2年ほど前、三交南紀→松阪駅間で利用したことがあり、今度はそれと逆方向のバスに乗るかたちだ。時間はかかるものの、乗り換えなしで距離を稼げるため、電車/バス交互乗継ルール的には“高性能”な乗り物になる。
並行しているJR紀勢本線もまた、今も鉄道の原風景が残っているような魅力に満ちた路線で捨てがたいのだが、一方の熊野古道ラインは熊野古道ラインで、旅風情が程よい素敵な移動手段という前回の好印象がリピートを誘う。だいぶ悩んでバスを選んだ。
■長い待ち時間
鳥羽に投宿した翌朝は宿の送迎サービス(ハイエースコミューター)を利用して、鳥羽駅まで送ってもらった。
鳥羽駅前には送迎バス専用の駐車レーンがあり、ワゴン車から中型汎用バスまで、各宿泊施設から来た送迎車が端から端まで並ぶ壮観な光景が広がっていて、さすがは大型観光地の貫禄だ。
交互乗り継ぎルール上、送迎サービスはバスに含めているため、次は電車のターン。松阪まで乗り換えなしで行ける列車をつかまえればOK。JR/近鉄、先に出発する方を選んだところ近鉄特急になった。鳥羽→松阪まで27分だ。
松阪駅に着いたのが11:00。ここでちょっと課題になるのがバスまでの待ち時間。たしか熊野古道ライン、1日3本だったのが1本に減便した覚えがあり、前日に確認したところ、やはりそうなっていた。
松阪駅発が14:15。訪問が水曜日だったので影響はなかったものの、土日祝運休に変わっていたのは予想外だった。気がつけばレア度に一層磨きがかかってたのね。
バスまで3時間ほど。何をして過ごすかが課題というわけだ。この日はなんとなくブラブラと街歩きをして時間を潰していった。松阪に来る度よく泊まっていた安いホテルが閉館していたのを目の当たりにして、ちょっとショック。
あそこに最後に泊まった2年前、ユニットバスに“虫”が出て、風呂桶に追い込んで水責め遊びしたのも懐かしい思い出になってしまった。さすがのあの昆虫も水ヒタヒタの排水溝行きだけは嫌だったみたいで、必死で抵抗してたな〜まあシャワーの水圧上げたけど。