三菱ふそうトラック・バスと台湾の鴻海精密工業股份有限公司(ホンハイ・Foxconn)は、ゼロエミッション車両バスにおける戦略的協業を検討する基本合意書を締結した。すでに多くの報道がなされているが、バスファンの目線から当日の記者発表を取材したのでレポートする。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■破票の背景と概要
基本合意により、日本の三菱ふそうとFoxconnは移動の脱炭素化を加速する。 またFUSOブランドのバス事業の強化を目的として、それぞれの子会社である富山の「三菱ふそうバス製造株式会社」と鴻華先進科技股份有限公司(Foxtron)は、Foxtronが開発した電気大型バス「MODEL T」および電気小型バス「MODEL U」を皮切りに、ゼロエミッションビークルバスの開発と生産、サプライチェーンマネジメントや販売において協力するとしている。
急速に変化するバス市場において多様なニーズに応える製品を提供し、持続的な事業成長を実現するべく、4社は本合意を起点として、FUSOブランドの強化と新たな日本製のバスの開発に向けた将来のビジネスモデルを検討する。
MFBM は日本製ディーゼルバスおよびZEVバスの市場導入の検討など、バスの開発、生産、商品化のための事業プラットフォームの役割を担う。大型電気バス「MODEL T」は、既に主要都市の公共交通機関で商業運行している。小型電気バス「MODEL U」は、柔軟性と多機能性を象徴するクリーンかつシンプルなデザインが特徴だ。
■経済分野での意義は大きい
概要をまとめると、日台両国のメーカーが50%ずつの出資比率で日本にバス専業メーカーを立ち上げるというものである。新メーカーは台湾で実績を積んだEVバスをベースに日本仕様で開発し、新会社がまずは日本市場向けに販売する。
EV車で実績のある台湾メーカーと、世界的な販売網とブランド力を持つ三菱ふそうにより、遅れていたEVバス分野を一気に推し進めようということのようだ。
EVバスなので、当然ながらバッテリーが肝になる技術なわけだが、昨今ではサプライチェーンの問題で脱中国が叫ばれている。レアアースをはじめとするこれらの問題について認識と問題意識を持っていることは質疑応答で両社は認めたが、技術と調達先の多様化で解決できれば強力なタッグとなるだろう。
これらの日本や台湾がおかれた地政学的な問題や、技術的な補完関係、あるいは国家規模での経済的な役割は大きなものが予想される。よって一般の新聞や経済関係、また各報道機関が大挙して押し寄せたのはこういう期待もあったのだろう。
■バスマニアはワクワクしながら待とう!!
さて、バス専業メーカーが誕生するということで、どんな車両で今後はどうなるのかについてという点が気になるところだが、結論から言えば具体的にはまだ決まっていないというのが今の状態だ。
現時点で決まっているのは出資比率(50対50)と本社所在地(川崎)、製造拠点(富山)、最初に手掛けるのは電気大型バス「MODEL T」をベースにした完全日本仕様の国産バスにするということといったところ。
高羅氏をCEOとする組織の社名もまだ決まっていないので、すべてはこれからなのだ。三菱ふそうも認めていたのは、要するに遅れていたEVバス分野で一刻も早く世に製品を出したいという想いが今回の合意に至った最大の理由だという点だ。
今後のことについて決まっているのは、ディーゼル車は製造販売を続け、EV車と併売になる模様だ。これは日本だけではなく多くの国に販売網を持つ三菱ふそうとしては、国によりディーゼル車の需要はあり、新車の販売やアフターサービスは継続して行うべきだという判断からだ。
よってエアロエースやエアロスターまたはエアロクイーンやローザといった既存のディーゼルバスがEVバス販売開始と同時に終売というわけではない。EVバスにしてもまずは大型路線車からなので、いつラインナップが出そろうかのロードマップもない現状では当然の判断だろう。











