閉山から22年経った炭鉱で栄えた小さな島のバス……今も走ってるってマジ!?

閉山から22年経った炭鉱で栄えた小さな島のバス……今も走ってるってマジ!?

 その昔は日本のあちこちで石炭が掘られていた。炭鉱には多くの人が集まる。だからこそ現地周辺の移動手段も確保されていたはずであるが、そんな隆盛を極めた「炭鉱があった街」の公共交通機関は現在はどうなっているのだろうか。

文・写真:中山修一
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■21世紀まで続いた炭鉱の島

各所に炭鉱設備が残る池島
各所に炭鉱設備が残る池島

 九州・長崎県。2022年9月に開業した西九州新幹線の終点にして、新幹線駅としては日本最西端の座を手に入れた長崎駅から、北西方向に直線距離で約29km離れた場所に、「池島」という小さな島がある。

 九州は北海道と並び採炭が盛んに行われていた地域で、長崎県では沖合に浮かぶ小島を炭鉱へのアクセスゲートに置き、海底に眠る石炭を掘り出す場所がいくつもあった。世界遺産登録で有名になった軍艦島(端島)もその一つだ。

 同じく長崎県に位置する池島は、軍艦島から北方向に直線距離で31kmほど先にある。エネルギー源を石炭から石油にシフトする政策によって、殆どの九州炭鉱が1960〜70年代に次々と閉山に追いやられた中で、池島はその例に含まれない、極めて珍しい経緯の持ち主だ。

 池島のサイズは面積1.06平方km、周囲4kmくらい。ここで採炭が始まったのは1959年。厳密には池島から約3km離れた「蟇(ひき)島」周辺の海面下650m付近に鉱区が広がっていた。

 鉱区へのアクセスゲートとして池島が活用された形で、関係者の居住エリアにもなっていた。池島炭鉱は良質な石炭が採れる場所として、主に火力発電所向けの石炭を出荷。最盛期には狭い島内に7,500人を超える人々が住んでいた。

 日本の鉱山の終焉期に巻き込まれず生き残った数少ない炭鉱であったが、その後、価格が日本産の1/3程度に収まる海外産石炭の台頭により競争力を失い、21世紀に入った2001年11月にとうとう閉山となった。

 池島炭鉱の石炭埋蔵量は推定17億トン。42年の操業期間のうち合計4,400万トンを掘り出しての幕引きだった。

■長崎のディープな観光スポット

 池島炭鉱の閉山後は、海外の炭鉱スタッフを育成するための研修施設に転用されたほか、リサイクル業などを担っていた。最盛期に7,500人を超えた人口も、2023年のデータでは99人を数えるまでに減少した。

 閉山の時期が比較的新しいため、現在も炭鉱設備の多くが往時を偲ばせる。さらに、数千人もの人々の生活を支えるべく、島内にはコンクリート作りのアパートが多数建てられており、使われなくなった後も、時の流れに任せるまま余生を送っている。

役目を終えて人が住まなくなったアパート群が見どころ
役目を終えて人が住まなくなったアパート群が見どころ

 最近は遺構見学というのも、ちょっとディープな旅先での過ごし方として認知されつつあるようで、池島もまた、残された設備や建物を観光資源に活用。予約制のガイドツアーを申し込んでおけば島内を1日見て楽しめる。

 池島には宿泊できる施設が1箇所あり、島内に泊まることも可能。夜間は周辺が非常に暗くなり、晴れている日なら、コンクリのアパートに満天の星空という、ミスマッチな組み合わせに戸惑いつつも目を奪われること請け合いだ。

 ただし、ちゃんぽんやトルコライスが名物で知られた、島内で実質的に唯一の飲食店が2023年3月に閉店したため、食事に関しては事前に工夫しておかないと後々試練が訪れるかも……。

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