大量輸送が求められた1960年代……ラッシュ時代が始まったバス激動期にタイムトリップ!!

■中扉引戸で乗降性向上と労力軽減を

 のちにワンマンバスの主力となる4枚折中扉はこのような趣旨で採用されたが、同じころから各メーカーも、中引扉を“広幅扉”の名でツーマン車にオプション設定するようになる。

 広幅といっても4枚折のように相互に2列乗降まではできなかったが、乗降のスムーズ化はできたことと、自動扉によって車掌の労力軽減になったことから、採用した事業者も多かった。

【写真5】東武鉄道が埼玉県内のツーマン路線で使用した中引扉の日野RE120。通常の折戸仕様と並行して導入された(1977年)
【写真5】東武鉄道が埼玉県内のツーマン路線で使用した中引扉の日野RE120。通常の折戸仕様と並行して導入された(1977年)
【写真6】宮城バスが【写真2】の車両とほぼ同時期に導入したいすゞ車の宮城交通カラーになってからの姿。長尺BU20に中引扉仕様(1977年)
【写真6】宮城バスが【写真2】の車両とほぼ同時期に導入したいすゞ車の宮城交通カラーになってからの姿。長尺BU20に中引扉仕様(1977年)

【写真5】【写真6】は長尺車によるラッシュバスとしての採用、【写真7】は輸送力より広幅自動扉の機能を重視したとみられる一般的な長さの車両での採用例である。

【写真7】三原市営バスが導入した三菱MR410中引扉ツーマンバス。引戸の自動扉はこのようにツーマン車でも採用された(1978年)
【写真7】三原市営バスが導入した三菱MR410中引扉ツーマンバス。引戸の自動扉はこのようにツーマン車でも採用された(1978年)

 その後ラッシュバスも長尺ワンマン車が中心になっていく。【写真8】は1967年導入の阪急バスのニュータウン路線用車両だが、三菱の一般モデル最長のMR420前後扉で、リヤオーバーハングが長いため、後引扉と戸袋窓の後ろにさらに窓がつくという特異な外観であった。

【写真8】阪急バスが千里ニュータウン地区で採用した初期の長尺ワンマンバス。リヤオーバーハングの窓配置が異色(1980年)
【写真8】阪急バスが千里ニュータウン地区で採用した初期の長尺ワンマンバス。リヤオーバーハングの窓配置が異色(1980年)

 その後乗降性を高める3扉車が一部地域で普及するが、それはまたの機会にまとめることにしたい。

【画像ギャラリー】時代は「大量輸送」へ!! 乗客の増加で「ラッシュバス」が登場した1960年代を写真で振り返る!!(8枚)画像ギャラリー

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