クルマを運転していると、結構ギリギリに見えるときがある道路の幅。幅2mの車両を通すための道が、幅2mピッタリで作られているケースはあまりないハズであるが、実際のところ何ミリくらい余裕が残っているのだろうか? クルマのジャンルごとに割り出してみた。
文・写真:中山修一
(道幅クローズアップの写真つき記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■道にも色々あるけれど
自動車も通れる道路とひと口に言っても、高速道路から裏路地・未舗装の山道まで千差万別。全部を対象にするとキリがなくなるので、ここではバス・トラックなどの大型車が通行可能な舗装路に絞って見ていこう。
舗装路となれば、大抵の場合は国が絡んでくるということで、道路を作る際の何か規格でもあるのかな? と思い国土交通省が公表している資料を漁ってみると、やはり道路に関するものが出てきた。
それによれば、「この区間は何となく広めに作っておくか」のような、目方で設計している場所はまずないようで、「道路構造令」という法律に基づいて、結構細かい規定が設けられている。
■道の種類で変わる幅
同じ舗装道路でも、第1種〜第4種までの区分があり、そこからさらに第1級〜第4級(一部は5級)の等級に枝分かれしていく。
その道路の計画通行量や地形などが区分を決める基準になっているらしい。また、区分・等級ごとに通行車両の設計速度も異なる。
特例を除いて第1種は80km/h、第2種は60km/hなので、高速道路や自動車専用道路のほとんどが第1種もしくは第2種に該当するわけだ。
では今回のテーマに選んだ道幅であるが、やはりこちらも区分ごとに数値がちゃんと決められていた。内訳は……
・第1種:3.25m、3.5m、3.75m(特例)
・第2種:3.25m、3.5m
・第3種:3m、3.25m、3.5m
・第4種:3m、3.25m、3.5m(特例)
※等級は省略
……となっていた。
■車両ごとに余裕を割り出すと!?
上記を踏まえて、それぞれの道を車両が通行している際に、余っている道幅を計算してみよう。ここでは軽自動車、普通乗用車、大型バスを例にしてみた。
まずは軽自動車。最近の軽は規格上限ギリギリの幅で作られている車種が多いようで、メーカー問わず「1475mm」のクルマが沢山出てきた。この数値を使うと、余っている道幅の結果は以下の通り。
・第1種:1775mm(3.25m)、2025mm(3.5m)、2275mm(3.75m)
・第2種:1775mm(3.25m)、2025mm(3.5m)
・第3種:1525mm(3m)、1775mm(3.25m)、2025mm(3.5m)
・第4種:1525mm(3m)、1775mm(3.25m)、2025mm(3.5m)
※カッコ内は道幅
どの区分の道路も、軽自動車を横に2台並べてもまだお釣りが来るくらいの余裕があったとは、道幅をわざわざ数値で意識する日なんて大してないゆえ意外だった。
■基準選びが難しい普通乗用車
続いて普通乗用車。このクラスのクルマは種類が膨大にあり、それぞれ幅も異なるため基準にする数値を決めるだけでも大変。
2023年に最も販売台数の多かったクルマはトヨタ・ヤリスだそうで、ここは数が一番多い点を落とし所にして、普通のヤリスの幅「1695mm」を当てはめてみると、次の答えが出た。
・第1種:1555mm(3.25m)、1805mm(3.5m)、2055mm(3.75m)
・第2種:1555mm(3.25m)、1805mm(3.5m)
・第3種:1305mm(3m)、1555mm(3.25m)、1805mm(3.5m)
・第4種:1305mm(3m)、1555mm(3.25m)、1805mm(3.5m)
直線でクルマがぴったりセンター合わせになっていたとすれば、左右それぞれ約65cm〜1mほどの余裕が残っているわけだ。