■こんなところが珍しい(2):県境を越える
一般道のみを走る普通の路線バスで、県境を越えて走る路線は今や例外扱いなほど少ない。若江線が結ぶのは若狭と近江、すなわち福井県と滋賀県だ。
民営事業者のバスなら、県境近くで分断していてもおかしくない。しかし若江線の場合、元が鉄道になる予定の国鉄線だったのもあり、そのまま県境を越えて通しで向かってくれる。
前述の通り、若江線は一般道のみを走る路線バスで、車両も高速バスタイプではない、ごく普通の路線車が使われている。県境越え系一般路線バスの一面を持っている点も結構珍しい。
■こんなところが珍しい(3):電車より速い
近江今津〜小浜を電車で行こうとする場合、一旦敦賀方面まで北上して大回りする必要がある。一方で若江線は同区間をショートカットする形で繋ぐ。
バス vs. 電車で、バスが経路的にショートカットしていても、どうしても平均速度が遅くなるハンデのせいで、結局電車に負けるのは良くあるケース。
若江線はそのお定まりに入らず、純粋に速い。バスの便がある同時刻に近江今津を出たとすると、バスのほうが36分ほど早く小浜に着ける。電車に勝てるバスはちょっと凄い。
ちなみに、若江線はICOCAほか交通系ICカードが利用できる。現在のところICOCAエリア外になっている小浜線の小浜駅まで、若江線を使うと大阪や京都方面から1枚のICOCAやSuica等で来られるメリットもある。
表向きは素朴なローカル路線バスな顔をして、今日も静かに走り続ける若江線。真の姿を見出すと、その経歴は輝かしいものであり、なかなかの実力の持ち主だったりする。
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