11月16日(土)~17日(日)に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡4.563km)でENEOSスーパー耐久シリーズ2024 第7戦「S耐ファイナル富士」4時間レースが開催されたが、天候不良やクラッシュ等様々なトラブルがあった波乱のレースであった。
文:ピストン西沢/画像:小林克好
【画像ギャラリー】TEAM SPOONがアクシデントにも負けず悲願の優勝!! (35枚)画像ギャラリー■雨により思っていたような調整ができなかったが…
こんにちはピストン西沢です。11月16日(土)~17日(日)に富士スピードウェイ(静岡県駿東郡4.563km)でENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE 第7戦「S耐ファイナル富士」4時間レースが開催されて、ついに我らが95号車「SPOONリジカラCIVIC」(山田英二/小出峻/ピストン西沢/三井優介)がクラス優勝をもぎ取りました。
思えばこれまで度重なるトラブルやピットインのタイミングの悪さで、勝利どころか完走すら逃してきましたが、今回は速さ以上に強さを見せつけることができて、シーズンを共に戦った仲間としては、誇らしい限りです。
え? 何でそんな他人事みたいなの? っていうのは、まず読んでもらってから(笑)…ということで、レースウィークは、いつも通り木曜日から精力的に走行します。しかし、天気が安定せず、4人のドライバーが揃って同じ状況で走行することもままなりません。
ピストン西沢もWETの中2周しか走れませんでしたが、そこそこのタイムで、クルマを降りるときに原チーム監督がお褒めの言葉を掛けてくれました。曰く「西沢さん、結構な力走で…」って、「結構なお手前で…」みたいじゃんか!
結局2日間で計測8周するに留まり、ひたすらイメトレして出番に備えます。沈んだ予選…しかしレースは4時間の長丁場! 気にせず自分のペースで走る。
予選は今回も決勝セットに合わせたせいか、クラス5番手となります……スーパー耐久は複数のドライバーが、色々な路面状況の中で走るレースなので、クルマのセットアップも割と緩めして、タイヤの摩耗が進んだ時でもペースを落とさないで走れるように仕込みます。
なので、新品タイヤや燃料が軽い時を重要視しない分、予選を走るA、Bドライバーには時としてツラいこともあるわけです。もし予選一発のセットアップをSPOONの技術力と、生涯タイムアタッカー「山田英二」の組み合わせで追いかけたら、2秒近く上げてポールポジションを取ることも可能でしょう。
しかし参戦1年目は、そういったデータを作る余裕がないので、決勝セットを煮詰めることに終始します。
【画像ギャラリー】TEAM SPOONがアクシデントにも負けず悲願の優勝!! (35枚)画像ギャラリー■荒れたレースで運も味方に付け今季初優勝!
11月17日(日)の決勝はレースウィークで最も気温が上がり、ターボで室内が暑くなる「SPOONリジカラCIVIC」はクールスーツを装備して出走。今回の第7戦決勝レースはグリッドに65台ものマシンが並ぶ混雑ぶりで、レース前から波乱が予想されます。
「SPOONリジカラCIVIC」は小出峻がスタートドライバー! 序盤から果敢なアタックを見せ、3周目にはクラス3番手まで順位を上げました。しかし、スタートから22分後に大きなクラッシュが発生。最初はFCYで、その4分後にはSCへと変わります。
このタイミングで多くのマシンと共に95号車もピットイン。小出峻から三井優介へとドライバー交代、燃料補給とタイヤ交換も行ってピットアウトしました。
しかしそのままレース再開には至らず、ガードレールの補修のため、赤旗の「RACE STOPPED」。この赤旗中断は約1時間30分続き、先が読めない展開になってきました。
その後レース時間を約2時間残して再スタート! そこから三井優介の頑張りで、6位まで落とした順位を再び3位まで挽回。このままS耐らしいガチンコ勝負が続くかと思われた矢先、再び大きなクラッシュがあり、この日2度目の赤旗中断。
ここでレース時間短縮に合わせた諸規則の変更が公式通知として公示され、ピットイン義務は3回から2回、Aドライバーの乗車義務は1時間からなんと3周に変更。
残り30分となり超スプリント・レースの様相の中、条件をクリアしていないクルマが多く、再スタート後のピットは大渋滞となりますが、95号車はあえてすぐにピットインせず、原監督監督はステイの戦略。
ピットでバタバタするより、三井選手にプッシュさせ、更なるポジションアップを託す攻めの姿勢です。「SPOONリジカラCIVIC」はAドライバー山田英二選手が未だ乗車していないので、2位走行中の残り10分の間にドライバーチェンジを決行します…が、その直前にトラブルでコースアウトした車両があり、そこから4回目のFCY が導入。
これがピットインを遅らせた95号車にとって大きなプラスとなり、クラストップに浮上。 そのまま予定通り3周走りチェッカーを受け、ホンダ車のチューニング・メーカーとして、長年スーパー耐久シリーズに参戦してきたSPOONとして、復帰後FL5型CIVICでの初優勝を飾りました。
チーム監督の原剛は、「金曜日は霧の影響で午後は走れなかったりしたので、十分ではありませんが、前戦の岡山で発生したブレーキトラブルの対処を始め、サスペンションや空力は決勝用によいセットアップ出来たと思います。ドライバーも想定通りのタイムで走ってくれました。
ただ、ここまでレースが荒れるとは・・・。最後はFCYとピットインのタイミングがチームにとってドンピシャで運も味方してくれた事が、勝利の要因だったと思います。チームとしては7年ぶりのS耐復帰でメカニックも実戦経験が無く、マシンもFL5というデータも何も無い新車なので、今年は苦労すると思っていましたが、最後に勝てたことは大きな自信につながります。
来期に向けチームもマシンも、2~3段階、いや5段階くらいはアップする気概をもって臨まないといけませんね。最終的にはシリーズチャンピオンが目標ですが、チームスプーンは実戦参加から得たノウハウを生かした商品をスプーンスポーツのお客様に還元するという事も大きな目的ですから、ブレずにしっかりと進んでいきますよ」と語りました。
さてCドライバーのピストン西沢ですが、レースが短縮され出番がないだけではなく、最初のFCYのクラッシュの様子を見ようと、電動スクーターでパドックを移動中に転倒。激しい痛みでレースを離脱する羽目になり、表彰台に立つことができませんでした。
大事なところで応援にお応えできず誠に申し訳ございません。もう笑うしかできないっす。ちなみに肋骨骨折と肩の打撲、裂傷などで、全治1か月だそうです。早く治しますね。
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