ついに日本登場をはたしたインドからの逆輸入車、スズキ フロンクス。ファンはインドでのスズキの実績をご承知のようで、かなりの数の先行受注を受ける人気となっている。ここでは、ご存知清水草一氏がフロンクスを公道初試乗。清水氏の予想以上に締まった走りを披露したようだ!!
※本稿は2024年11月のものです
文:清水草一/写真:奥隅圭之、スズキ
初出:『ベストカー』2024年12月10日号
■先行受注だけで一万台に届きそう!?
スズキがインドから逆輸入して販売する小型SUV、フロンクス。インド製のスズキ車というと、ついバレーノが思い浮かんで「売れないんじゃ?」と思ってしまうが、さにあらず! フロンクスは先行受注だけで約9000台と、発売前から売れまくっている。いったいナゼ!?
まずルックスからチェックしよう。全長は4m弱と、SUVとしては最もコンパクトな部類だが、実寸よりはるかに大きく見える。サイズ的に一番近いライズ/ロッキーに比べると、二回りくらいデカく感じる。
確かに幅は広いが(1765mm)、全高は低いので(立体駐車場に入る1550mm)、大きく見えるのはスタイリングのなせる技だ。三菱のダイナミックシールドを思わせるX字型の顔つきや、ウエストラインの高いクーペ的なフォルムが効いている。
タイヤは16インチと小さめながら、ダブルフェンダーの大胆な造形で踏ん張り感も高い。実寸より大きく見えるスポーティなデザインなので、自動的に押しも強い。
個人的には「ちょっとゴテゴテしてるなー」と感じるが、フロンクスは世界70カ国で売れゆき絶好調。このスタイリングが大成功してるってことだろう。
インテリアはかなり高級志向で、シートはレザー調、ダッシュボードにはドーンとV字にシルバーの樹脂があしらわれている。一歩間違えるとギンギラの途上国向けになりそうだが、日本向けは色使いなどを抑えめに仕立ててある。バレーノにはこういう気遣いが足りなかったんだよね。スズキはちゃんと学習してるぜ。
【画像ギャラリー】スズキの第二の本拠地インドからナマステー!! 走りに欧州風の味わいを感じるスズキ フロンクス(24枚)画像ギャラリー■乗り味はインド生まれのヨーロピアン!
パワートレーンは4気筒の1.5Lマイルドハイブリッド+トルコン6AT。エンジンは最新というわけじゃなく、わりと古風なフィーリングながら、実用トルクが太くて意外とグイグイ加速する。FFで1070kgしかない軽さが効いてるぜ。さすがスズキのクルマは軽い。
車体は軽いけど、乗り味はダンピングの効いた重厚なるヨーロピアン風味だ。多少硬めながら、ピシッとしてて気持ちいい。フロンクスはヨーロッパじゃ売ってないけど、スズキはヨーロピアンな足の味付けがとってもうまいのだ。
実はフロンクス、インド向けはもっと悪路に合わせた足だとか。これまた日本向けに仕立て直してあるのね。4WD(ビスカス式)の設定も、雪の降る日本専用。ヒルディセントコントロールまで付けてるんだからスゲエ!
後席も足元が広くて快適です。その分ラゲッジは狭いけど、インドは後席重視ってことで、そこはそのまま受け入れてください。
ところで254万円(FF)というお値段はどうなのか。高いんじゃないか?
フロンクスは逆輸入車ゆえ、細かい注文に応えた生産が難しく、最初からフル装備。ナビも標準だ。それを考慮すると実質価格はマイナス約20万円。ライバルたちとほぼ横一線になる。どれを選ぶかはクルマの魅力だけで判断すればよし! わかりやすくてイイネ!
●スズキ フロンクス
・全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm
・ホイールベース:2520mm
・最低地上高:170mm
・車両重量:1070kg(1130kg)
・パワーユニット:直4、1.5Lマイルドハイブリッド
・エンジン最高出力/最大トルク:101ps/13.8kgm(99ps/13.7kgm)
・モーター最高出力/最大トルク:3.1ps/6.1kgm
・WLTCモード燃費:19.0km/L(17.8km/L)
・使用燃料/タンク容量:レギュラーガソリン/37L
・トランスミッション:6速AT
・サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:195/60R16
・価格:FF=254万1000円/4WD=273万9000円(ともに6AT)
※( )は4WD
コメント
コメントの使い方