北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。第7回は、ゴマフアザラシです。
ゴマフアザラシといえば、90年代に人気を博したアニメ『少年アシベ』のかわいいキャラクター「ゴマちゃん」が有名ですが、いまや、全国の水族館、動物園で大人気ですね。
「ゴマちゃん」は、白い毛皮に覆われた、かわいらしい赤ちゃんアザラシですが、成獣も、まだら模様の丸々と太ったわがままボディとクリクリの瞳がかわいくて、かなりの癒し動物です。
写真・文/佐藤圭
海で出会った幽霊サーファーの正体とは
関東などでは、沿岸や川などにアザラシが現れると新聞ネタになるようですが、ゴマフアザラシは北海道の沿岸などで冬を越すため、僕の地元・留萌では馴染みの深い野生動物です。
冬の訪れとともにオホーツク海を南下してきますが、日本海側のオロロンライン沿岸も生息域に入っています。
留萌市の漁港の中にも、100頭以上が越冬しています。もし、冬にドライブで来ることがあったら、かなり高い確率で見ることができると思います。波のない日には、テトラポッドや岩礁の上で、のんびり日向ぼっこしながらうとうとしている姿が見られます。
撮影していても、あくびをしたり、体を反ったりするだけで、あまり動きはないですが、何時間でも見ていられるかわいさです。
むかし、留萌の海岸で冬にサーフィンをしていたときの話です。
仲間の5人だけで海に入ったのですが、ふと気づくと、いつのまにか6人に増えています。
「えっ、幽霊サーファー!?」
びびりながら一人ずつ確認すると、なんと、そのうちの一人はゴマフアザラシでした。
ゴマフザラシは好奇心旺盛なので、一緒に遊びたかったのか、あるいは、黒いウェットスーツを着たサーファーを仲間だと思ったのかもしれません。
海の中で目の前で見ると、かなり人間に近い顔をしているので、話かけられるんじゃないかと、ドキドキした記憶があります。
アザラシとのサーフィンは、本州以南のサーフポイントではめったに経験できないのでは。なかなか貴重な経験でした。
ゴマフアザラシたちは、4月に入ると、子育てなどのため北上して留萌にはいなくなります。また、来年の冬に出会えるのを楽しみに待ちます。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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