北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第20回は、日本最速の哺乳類・エゾユキウサギです。
本州以南にいるニホンノウサギよりひと回り大きく、特に後足はばかデカいです。このデカ足は力強く、走り出すと最高時速は80キロを超えます。
そんなユキウサギたちは、今、恋の季節を迎え、草原では激しいパートナー争奪戦が繰り広げられています。
写真・文/佐藤圭
お見合いはかけっこ勝負にボクシング!?
雪のように真っ白だったエゾユキウサギの毛替わりが始まりました。
毛替わりは、背中と顔のまわりから始まります。純白の冬毛が、どんどんまだら模様になっていき、約3週間ほどできれいな茶色の夏毛に替わります。
ユキウサギの学名は、ラテン語Lepus timidus(臆病なウサギ)で、とても警戒心が強いのですが、毛替わりの時期は、少し警戒心が薄れます。
毛替わりに体力を奪われているせいなのか、恋に夢中だからなのか、どちらかわかりませんが、真冬より、少しだけ近寄ることができます。
毎年、こぶしの花が咲く頃に、草原にウサギたちが集まり、メスの争奪戦が繰り広げられます。里山のウサギたちが一同に集結する集団お見合いです。
選ぶ権利はすべてはメスのほうにあって、パートナーには一頭だけのオスが選ばれます。
メスと競争、メスとボクシングなど様々な選定方法がありますが、審査基準はあくまで強さです。
もちろん、他のオスたちにも勝たなくてはならず、最終的に最も強いオスが選ばれます。強い遺伝子を残すための手段なのでしょうね。
夏の初めに出産しますが、天敵から身を守るため、子ウサギは草の中でじっとして過ごします。じっとしていることが、子ウサギに与えられた唯一の武器なので、なかなか見つけるのは難しいです。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。フランスのアウトドアブランド「MILLET」アドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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