北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第30回は、北海道に棲む黒いキツネ「十字狐」の子育ての姿を捉えた写真です。
アイヌの伝説にも登場する珍しいキツネですが、その子供は、珍しいだけではなく、あまりに可愛過ぎて、コロナ疲れが吹っ飛ぶほど癒されます。
写真・文/佐藤圭
黒い豆柴じゃないよ。キツネの子だよ
コロナのせいで暗い気持ちになりがちな日々ですが、うれしい出会いがありました。
北海道には、アイヌの伝説で「シトゥンペカムイ=人に災いを知らせる神」と呼ばれている、とても珍しい黒いキツネ「十字狐」が棲んでいます。
その姿を追って10数年になりますが、今年初めて、その子育ての様子を観察することができました。
以前、そこそこ大きくなった子ギツネと親が遊んでいるのを撮影したことがありますが、巣穴から出たばかりの子ギツネを見たのは今回が初めてです。
繁殖期に親ギツネを見つけると、何度かこっそり後をつけたのですが、いつもまかれてしまい、幼い子ギツネを見つけることができなかったんです。
父さんは背中に立派な十字の模様がある黒い十字狐です。母さんは赤毛のキタキツネでした。
子供は6匹生まれ、2匹は赤毛で、4匹が黒い十字狐でした。十字狐のうちの1匹は、ちょっとハーフっぽい薄いグレーでした。
通常、遺伝的に黒が生まれにくいようでなんですが、4匹も黒が生まれていて驚きました。
キタキツネの子っこは、豆柴によく似ていますが、6匹のうち3匹は全身真っ黒で、まるで黒豆柴です。
可愛くて、可愛くいて、レンズを向けながら、思わず顔がほころんでしまいます。
来年、再来年と、その血を繋いでいってほしいと願っています。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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