高級感があって、エレガントなスタイルが特徴的だった3代目ソアラ。海外では高い評価があったものの、国内では2代目ほどの爆発的な人気とはならなかった。しかし、そんな人気薄が影響してか、交通覆面パトカーとしてデビュー。全国の高速道路で猛威を奮った時期があったのだ。全国のドライバーたちを仰天させたソアラ覆面パトカーについて振り返ってみたい。なお、平成時代のパトカーをまとめた『パトカー30年史』もあわせて参照いただきたい。
文・写真/編集部
【画像ギャラリー】仰天のソアラ交通覆面パトカーを一気チェック(8枚)画像ギャラリー■デートカーの仮面をかぶった交通覆面パトカー
「ソアラの覆面パトカーを見かけた」という情報が編集部に届くようになったのは、1997年の春頃だったように記憶している。当時はすぐには信じられず、「何かの見間違いだろう」と思っていたぐらいだ。なぜって、その頃の覆面パトカーといえば、クラウンかセドリックというのが定番車であり、イレギュラーな車種など、ほとんど聞かれなかったからだ。
もちろん、ちょうどその頃、埼玉県警にはスカイラインGT-Rの覆面パトカーが複数台あり、ドライバーに恐れられていた。しかしそれらは県の予算で導入された特殊なパターンで、ソアラのような高級車がパトカーに採用されるのは、なかなか考え難いことだったのだ。
そんなわけで、担当が初めてソアラ覆面パトカーが取り締まりをしているシーンを見たときは、本当にびっくりだった。
今のようにSNSなどで、珍パトカー情報が瞬時に広まる時代ではなかったので、ソアラ覆面の認知度は低く、次から次へと違反車を捕らえていた。警察から見ればまさに「入れ食い」状態。さぞや、頼もしい新兵器だったことだろう。
また、一般ドライバーからしたら、まさかソアラの覆面パトカーがいるなんて思ってもいない。ゆったりとクルージングするソアラ覆面に、じれて煽るドライバーや、嫉妬(?)でちょっかいを出すドライバーもいたほどであった。
■全国にたった20台のレアパトカー
ソアラの覆面パトカーは国費で導入されている。「高速II型」ということで、高速隊などで使用される高性能なパトカーという扱いだ。落札は1996年11月で、その数20台、1台あたりの価格は約422万円だった。参考までに、同年に落札されたY31セドリック覆面の価格を紹介しておくと、1台あたり約237万円となっている。なかなかの高額パトカーである。
ベース車両は、2.5GT-Tのターボモデル。96年のマイナーチェンジでフロントグリルのついた後期型だった。トヨタが誇る最上級クーペだけあって、その性能は国産車でもトップレベル。280ps、38.5kgmの大パワー&トルクで、素晴らしい加速力を誇った。
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