ホンダのクルマ造りの哲学にM・M思想というものがある。ホンダのホームページやホンダ車のカタログを見てそのキーワードが気になった人もいるのではないだろうか?今回はこのM・M思想を紹介すると共に、その思想が良く表れているモデルやポイントなどを紹介していく。
文:西川昇吾╱写真:ベストカー編集部、ホンダ
■小さい車でも広く使えるホンダのNシリーズ。その秘密は1967年から始まっていた!!
M・M思想とはマン・マキシマム/メカ・ミニマムの略称だ。「人のためのスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に」という意味が与えられている。その言葉にある通り、メカニズムを出来るだけコンパクトにして室内空間を大きく取るという設計が施されているクルマがホンダには多い。
実はこのM・M思想はホンダが4輪車を作り始めた黎明期からある哲学なのだ。その哲学が最初に生かされたクルマが1967年に登場したN360だ。
N360は当時の軽自動車規格の中で最大の居住空間を確保することを意識して設計された。その目標の1つが、大人4人が余裕をもって座れることであった。ここからホンダのM・M思想はスタートしたと言える。
■N360の成功でM・M思想はホンダの基本に
N360はパワートレインを小さくするためにFFレイアウトを採用することに決定、FFにすることでプロペラシャフトを通す必要がなくなり、車内空間を広く取れるからだ。そして新たに小型な空冷2気筒のエンジンが開発された。こうした工夫により生まれたN360はその車内空間が評価され、登場から44か月間軽乗用車トップの販売台数であった。
その後、ホンダはエンジンレイアウトを工夫した初代ライフや、リアサスペンションのレイアウトを配慮することでリアシートの居住性を高めた初代シビックなどM・M思想を取り入れたクルマで成功を納めていった。
■小さい車でも使い勝手と走りの両立は譲れない。現代の小型車もホンダに任せとけ!!
現行モデルでもM・M思想という哲学は受け継がれている。N-BOXやフィットといった小型車にはセンタータンクレイアウトを用いて、コンパクトなボディサイズながら室内空間を広く確保する、そんな工夫がなされている。
なお、このセンタータンクレイアウトはフロントシートの下に燃力タンクを配置することで、リアシートのシートアレンジのバリエーションを増やし、より荷物を積めるようにもなっている。人のためだけでなく積載性も考えられたレイアウトになっているのだ。
そしてM・M思想を取り入れたモデルたちはオーバーバングが短いのが特徴的だ。これはM・M思想の基本にタイヤをボディの四隅にどこまで寄せられるかという考えがあるからだが、必然的にこの考えを用いるとロングホイールベースとなる。ロングホイールベースになると直進安定性が増すため、ホンダ車はコンパクトカーであっても長距離での疲労感が少ないと感じることが多い。
M・M思想はホンダのクルマ造りの基本哲学であり、これまでの多くのヒットモデルたちを生み出してきた理由でもあるのだ。
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