ラリーチャレンジの2024シーズンが3月17日沖縄で開幕。3年がかりの準備が実り約9000人のファンを集めて盛り上がった。「ラリーが大好きなおじさん」を自称するモリゾウさんも参戦し、笑顔のサポーターたちから「ちばりよー」と声援を受けながら、激走した!
文/写真:ベストカーWeb編集部
■モリゾウさんにとって40戦目のラリーチャレンジ
モリゾウさんがラリーを始めたのは2012年のTRDラリーチャレンジ新城だった。それ以来ラリーチャレンジ沖縄が40戦目の参戦となった。モリゾウさんは感慨深げにこんな話をしてくれた。
「ラリーチャレンジに参戦した当時をよく覚えています。運転が少しはうまくなったのもラリーチャレンジに参戦したおかげだと思っています。そんな自分のことよりもトヨタがWRCに参戦し、全日本ラリーも盛り上がりを見せるなど、ラリーが発展してきたことが何よりもうれしいですね。そして草の根でラリーへの関心を広めることができたのも、このラリーチャレンジの活動があったからこそだと思います」。
2010年かぎりでWRCラリージャパンの開催がなくなるなか、全日本も下火になり、ラリーチャレンジにモリゾウさんという「スター」がいなかったら、ラリーチャレンジの盛り上がりもなく、再びWRCが日本で開催されることもなかったかもしれない。
ラリーチャレンジ沖縄は沖縄市とうるま市がモータースポーツ文化の普及と活性化に取り組むなかで、3年がかりで開催にこぎつけた。この2つの市の想いは熱い。
昨年11月の沖縄モーターショーは沖縄市が主催となり入場無料で開催された。沖縄市長の桑江朝千夫氏は「沖縄サーキット」の建設を公約に掲げ、モータースポーツによる企業誘致や自動車関連人材の育成を考えている。
一方うるま市は今年1月に「うるま市長杯2&4レースin伊計島」を入場無料で開催した。中村正人市長は地域活性化や滞在型の観光にモータースポーツを役立てたいとしている。ちなみに伊計島はドライブコースとしてとして有名な海中道路を使って渡る。
地元密着のラリーチャレンジの開催から大きな経済効果が生まれることは確か。2023年のデータだが八ヶ岳 茅野戦は約2万人の観衆を集め、7.4億円もの消費活性効果があったと試算されている。開催される長野県茅野市の人口は約5万5000人で税収が89億円であることを考えると、その大きさがわかる。
■米軍基地のある沖縄県には大きな可能性がある
わからなかいことも多かったラリーチャレンジ沖縄だが、選手たちからはSSが短く、消化不良だったという声や渋滞がひどく、競技に集中できなかったという声が聞こえてきた。
グラベルならともかく、SSとして使える林道はそれほど多くないし、クルマ社会の沖縄で日曜日に一般道を閉鎖することは容易ではない。今回はすべてクローズドコースでのSSとなり、一般道を使ったSSはなかった。
しかし、その課題を一挙に解消できる方法がある。ラリーチャレンジ沖縄を取材した国沢光宏氏は「米軍基地内でSSを開催すればいい」と指摘する。
かつて東京の立川に米軍の飛行場があり、ドラッグレースが開催されていた。沖縄の米兵たちはモータースポーツ好きが多く、ドリフトやジムカーナなどが併催という形なら彼らからも人気となるかもしれない。
基地内なら安全面や騒音面でも安心だし、地域との交流にもなる。もちろん、簡単ではないだろうが、興味深い提案だと関係者も話していた。
課題もあったラリーチャレンジ沖縄だが、サービスパークのあるコザ運動公園には約9000人もの家族連れが訪れ、リエゾン区間でもたくさんの人が応援してくれたことは大きな成果。
「笑顔のサポーターたちからの応援がなによりうれしかった」とモリゾウさんが言う通り、初めて沖縄で開催されたラリーが残したものは想像以上に大きかった。
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