伝説が生まれたレースとR32GT-R
1990年、全日本ツーリングカー選手権のグループAに参戦したR32GT-Rは、衝撃的なデビューを果たします。
当時、国内外のツーリングカーレースで世界最強と言われていたライバルのフォード・シエラRS500をなんとレースの1/4を終えた時点ですべて周回遅れとし、R32GT-Rは圧勝でレースを終えたのです。
その後のレースでも、圧倒的な速さでフォード・シエラを駆逐し、蓋を開けてみると全日本ツーリング選手権が終わるまで、無敗の29連勝というGT-Rは新たな伝説を刻むことに成功しました。
R32GT-Rのデザインの魅力
R32GT-RはR32スカイラインの最上級グレードという位置付けです。そのため、ベースモデルのスカイラインと比べると、大きく張り出したブリスターフェンダーや大型のフロントグリル、16インチの鍛造アルミホイールなど、明らかに只者ではない雰囲気が伝わってきます。
スカイラインのアイデンティティでもある丸目のテールランプは、個性の強いものであるはずなのに、R32GT-Rの筋肉質なボディとの相性が抜群で、なぜか引き込まれてしまう魅力を持っています。
R32GT-Rはあくまでも普通自動車がベースだった
R32GT-Rは、レースで勝つという目的で作られたクルマではありますが、そのレースはツーリングカー、つまりあくまでも市販を目的とした乗用車を使用したレースです。
そのため、レース専用に作られたプロトタイプや、一般ユーザーにとって手の届かないスーパーカーとして作られたクルマではありません。
もちろん若者にとって簡単に手にいれることができる価格帯ではないものの、スカイラインはクルマ好きにとって決して遠い存在ではありませんでした。
レースで走るGT-Rを見て、「頑張ってGT-Rのオーナーになりたい!」とそう思わせる魅力がR32GT-Rにはありました。
当時のレースを席巻した圧倒的な戦闘能力と、GT-Rというフィロソフィー、日本国内のみの販売というストイックなポリシー、そして硬派なデザインなどが全て融合し、日本のクルマファンの大和魂が大いに揺さぶられた一台でした。
まとめ
R32スカイラインGT-Rはその後R33、R34とモデルが続きますが、RB26DETTエンジンの基本設計はそのままであったことや、デザインコンセプトが変わらなかったことを考えると、いかにR32の完成度が高かったかがわかります。
もちろん、最近のクルマの方が絶対的な性能が良いのは確かなのですが、当時の記憶が思い起こされて、今でも興奮できるクルマは、なかなかありません。
クルマファンとしては、R32GT-Rの様なすごさを語れるクルマが再び現れる日を心待ちにしています。
- スカイライン 2ドアスポーツクーペGT-R(E-BNR32)
- 全長:4545mm
- 全幅:1755mm
- 全高:1340mm
- ホイールベース:2615mm
- 車両重量:1480kg
- 乗車定員:4名
- エンジン型式:RB26DETT型
- エンジン:直列6気筒DOHC
- 総排気量:2568cc
- 最高出力:ネット280ps/6800rpm
- 最大トルク:36.0kgm/4400rpm
- ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
- タイヤサイズ前後:225/50R16
- 発売当時価格:451万円
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