■私はこのクルマでラリーに出たい!
続いて登場するのは、ベストカーWebでもおなじみのモータージャーナリスト、竹岡圭さんだ。竹岡さんは2024年、北海道で開かれたXCRスプリントカップ北海道のXC-2クラスに桃色のトライトン(通称モモ//トン)で参戦し、第3戦ラリーカムイでクラス3位、第4戦ラリー北海道で同4位に入賞を果たしている。
Q:竹岡さん、XCRスプリントカップ参戦までは、すごいタイトスケジュールだったそうですね?
「私は、ラリーアートのドライビングスクールでインストラクターを務めていたこともあって、ずっと『三菱のクルマでラリーに出たい』と思っていました。そんなとき、タイでトライトンがデビューしたのですが、そこでクルマを見た私は『これならいけるんじゃね?』と思ったんです」
「それで、その場で開かれた三菱の社長や副社長もいらっしゃる記者会見で、『私はこのクルマで来年ラリーに出たいです』って思いを伝えました。以来私はずーっと、トライトンでラリーに出たいって三菱じゅうの人に知れ渡るくらいいい続けてきたのですが、なんと今年の3月末、そのゴーサインがいただけたのです」
「とはいえゴーサインは出たものの、(タイで生産される)クルマは来ない、部品はない、さあどうする? ってなって、最後は13日間でロールケージを溶接する突貫工事でラリーに出たんです(笑)」
Q:そんなトライトンで向かった北海道はいかがでしたか?
「いろんな人が『三菱がラリーに帰ってきた』とか『ラリーアートのロゴがまた見れた』とか言ってくださって、みんなも喜んでくれたし私もうれしかった。ラリーのスタート前、帯広駅前でラリーショーが開かれたんですが、そのとき200人くらいの人が列を作ってくださってサインをしたんです。皆さん、昔のラリーアートのTシャツとか着てくださっているんですよ。感激でしたね」
■シフトダウンはマニュアル、立ち上がりはDレンジ?
Q:いよいよ始まったラリーではどう走りましたか?
「初戦のラリーカムイではデータどりということで、ものすごく抑えて走りました。うちのクルマはリエゾンでクルーズコントロールが使えるくらいドノーマルなので(笑)、衝突被害軽減ブレーキがオフになってるかとか、4WDとドライブモードの組み合わせなども探りながらのドライブでしたね」
「(ラリーカムイで3位入賞後)次戦のラリー北海道を迎えるんですが、ここでもパーツが間に合わなくて、結局ほぼラリーカムイのセットのまま走りました。ただここではもう少し攻めた走りができました」
Q:竹岡さんの攻め方を教えてください。
「まずシフトワークですね。下って上るようなタイトコーナーでは、トライトンはもともとの重さもあって車速が落ちてしまう。そんなときはMTモードでシフトダウンするしかないわけですが、ディーゼルって回転域が限られるので注意しなきゃならない」
「あれこれトライしてたどり着いたのが、とにかくコーナーの進入ではバンバンとシフトダウンしてしまう(※オーバーレブしそうならクルマ側がシフトダウンしない)。で、クリッピングに付いたと思った瞬間、Dレンジに戻して、立ち上がりはATで脱出するんです。そのほうが早くて楽(笑)。これってトライトンでワインディングを走るときだとか、猿投とか富士ヶ嶺のオフロードコースを楽しむ人も、使えるワザだと思いますね」
Q:4WDとドライブモードはどんなセットでしたか。
「北海道のラリーステージでは4H(フルタイム4WD)のグラベルか4HLC(センターデフロックの直結4WD)のマッドを使い分けた感じでしょうか。進入のブレーキングや長いストレートでクルマが安定するので、センターデフロックする4HLCが合ってるとは思いますが、もっと曲がってほしいと思う場面もあるので、これは状況にもよりますね」
「カムイに出たとき、リアがグリップしないなあと感じて、ライバルのハイラックスがリアにスペアタイヤを2本積んでいたので同じことをやってみたんですが、クルマの動き自体が良くならない。結局、重くしてもダメで、軽いまま足をきちんとしなきゃだめだということが分かりました。その後はリアに積むスペアタイヤは1本にして、燃料の搭載量を計算しています。最小限だけ積んでできるだけ車体そのものを軽くする方向ですね」
――――――――――――――――――――――――――――――
というわけで、お二人からはトライトンの魅力と走らせ方をたっぷりうかがうことができた。もちろんトライトンの優れた走りは、ラリーフィールドに限らず日常のドライブでも生かすことができる。ぜひ一度ステアリングを握って、その感動を体感してほしい!
●トライトンの詳細はこちらをチェック!
【画像ギャラリー】25度の坂道で牽引!? パジェロの血も流れてるトライトンのラリーマシンがこれ!(21枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方