いまや軽自動車がファーストカーという人も多い時代。しかし、意外にもフル乗車による評価をあまり見たことがない。となると素朴な疑問として挙がるのは、メインで軽自動車を利用する場合にフル乗車に適したパワーユニットは何なのだろうか、という疑問。そんな中、渡辺陽一郎氏が出した結論は!?
※本稿は2024年9月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:西尾タクト、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツ
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
■軽自動車のフル乗車に適したパワーユニットは?
エンジンは回転数の上昇に応じて駆動力を高めるから、低回転域の発進直後は加速が鈍くなりやすい。特に背の高い軽自動車は、エンジン排気量が660ccでコンパクトカーの約半分なのに、車両重量は同程度だ。
そこに4名で乗ると、発進加速性能は一層辛くなる。そのためにノーマルエンジンの軽自動車を運転すると、通常の発進でもアクセルペダルを深く踏むことが多い。
その点でターボは有利だ。ムーヴキャンバスの場合、ターボの最大トルクはノーマルエンジンの1.7倍に達する。実用回転域の駆動力が高く、発進加速も力強い。
しかもムーヴキャンバスのターボでは、無段変速ATのCVTにギヤを組み込んだから、ターボのWLTCモード燃費はノーマルエンジンと比べて2%しか悪化しない。
ほかのターボでも燃費悪化率は10%以内で、排気量の割にボディの重い軽自動車にとってターボは効率が優れている。
しかも軽自動車のターボは価格が割安だ。装備の違いを補正してターボの正味価格を算出すると5万~8万円に収まる。従って軽自動車に3名以上で乗車するユーザーにはターボを推奨する。
そして、軽自動車のフル乗車に最も適するパワーユニットはBEVだ。軽自動車が最も苦手な発進加速を滑らかに行える。軽自動車とBEVの親和性は、走りの面でも優れている。
●ホンダ N-BOX 諸元表
・グレード:標準車
・全長×全幅×全高:3395×1475×1790mm
・ホイールベース:2520mm
・車両重量:910kg
・総排気量:658cc
・エンジン:直3DOHC
・最高出力:58ps
・最大トルク:6.6kgm
・モーター:―
・WLTCモード燃費:21.6km/L
・価格:164万8900円
●ダイハツ ムーヴキャンバス 諸元表
・グレード:セオリーGターボ
・全長×全幅×全高:3395×1475×1655mm
・ホイールベース:2460mm
・車両重量:900kg
・総排気量:658cc
・エンジン:直3DOHC+ターボ
・最高出力:64ps
・最大トルク:10.2kgm
・モーター:―
・WLTCモード燃費:22.4km/L
・価格:179万3000円
●スズキ ハスラー 諸元表
・グレード:HYBRID X
・全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm
・ホイールベース:2460mm
・車両重量:820kg
・総排気量:657cc
・エンジン:直3DOHC
・最高出力:49ps
・最大トルク:5.9kgm
・モーター:2.6ps/4.1kgm
・WLTCモード燃費:25.0km/L
・価格:167万2000円
●日産 サクラ 諸元表
・グレード:G
・全長×全幅×全高:3395×1475×1655mm
・ホイールベース:2495mm
・車両重量:1080kg
・パワーユニット:モーター
・最高出力(モーター):64ps
・最大トルク(モーター):19.9kgm
・総電力量:20kWh
・一充電航続距離(WLTCモード):180km
・価格:308万2200円
コメント
コメントの使い方記事から感じることは、BEVを軽の優遇税制でサポートする必要はないということです。
完全な贅沢品ですし環境負荷も高いので、軽の本来の血税注ぎ込む面目から外れてます
その上で性能的にも軽の範疇ではないと判断された以上、自動車メディアとして問題視するべきではないでしょうか