商用車の無塗装バンパーとは?
さて本題の軽自動車を含む商用バンに見られる無塗装バンパーが使われているコストや利点について探ってみた。
あからさまに「コストを下げてます」と言わんばかりの見た目ゆえ、乗用系はもちろん商用車でも採用するモデル(とグレード)は少なくなっている。
それでも未だに生き残っているのは時代が変わっても、塗装には手間とコストがかかることの証左といえる。
街中でみかける無塗装バンパー(実際にはグレーとブラックの中間に近い)を装着した、乗用モデルを基本とした商用ステーションワゴンで、日産のADが目立つように思えるのは、部品の大きさが目立つからだろう。
旧世代のADバン/エキスパート(かつての乗用車のウイングロードがベース)から、黒バンパーといってもアンダースポイラーからサイド部まで一体成型品を装備して、フロントサイドまで回り込む大型部品になっているから、どこまでをバンパーと捉えるかは難しい。
フロントグリル下にのみ装着されているような、シンプルな無塗装バンパーが商用車でも減少傾向にあるのは、最近では乗用系でもごく普通になったグリル一体型のデザインが増えたことと関係があるはずだ。
ところで、最近では塗装済みという表現も、バンパー製品に使う上で微妙になりつつある。
自動車用の樹脂製品の世界では、部材を金型成型して生産する前段階の工程で、原材料そのものにあらかじめ着色しておく製法が開発された。
このような樹脂部品は「材着」もしくは「原着」製品と呼ばれ、後工程で部品に塗装を施すよりも見栄えや質感は劣るといえ、手間がかかる塗装工程が省けるので生産コストを抑えることができる。
結果として、ボディ外装のグリルやバンパー、サイドガーニッシュといった部品を中心に採用されるケースが増えている。
日産商用バンの大型無塗装バンパー
さて、ボディ同色バンパーと無塗装バンパーでは部品代、塗装代を含めてどれくらい違うのか。
バンパー単体の価格については、バンパーに付属して装着された部品によっても変わってくることを頭に入れておいて、まずは前述のように街中で目立つ日産のNV150ADを例に確認してみた。
2016年10年ぶりのマイナーチェンジで、NV150AD/エキスパートはNV150ADに統一(乗用仕様のウイングロードは2018年3月に生産終了)、エキスパートはグレード名になっている。
NV200バネットやNV350キャラバンのDXなどの廉価グレードなどでも無塗装バンパーを使用している。
価格については、自動車メーカーとしては他社と比較されることもあって部品の単体価格をあまり公にされていないが、日産に関しては、以下のようなスタート価格を明らかになった。
むろん、フォグランプなどの追加装備があれば、価格は上積みされていくことになる。
●NV150AD/無塗装バンパー:2万円~、カラードバンパー:3万8000円~
●NV200バネット/無塗装バンパー:2万1000円~、カラードバンパー:3万4000円~
●NV350キャラバン/無塗装バンパー:1万4000円~、カラードバンパー:2万5000円~
※すべて税込み
キャラバンがもっとも安いのは、街中でも多く見かけることもあるように、年間約2万台と他の日産商用車に比べ、販売台数の多さから来るコストの抑制が利いているはずだ。
無塗装バンパーは各モデルのDX(ADはDX/VE)グレードで採用されているが、塗装品を選択すると無塗装品のほぼ倍の値段になるのだから、選ぶ側としてビジネス上のコストを考えれば、無塗装品の価値は充分にあるというわけだ。
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