遅れていたトヨタ新型「クラウン（エステート）」の発売時期が、2025年3月に定まったようだ。フロントフェイスは他のクラウンシリーズよりもおしとやかで、他のクラウンシリーズほど際立った個性が見出しにくい新型クラウンエステートだが、「遊び」を楽しむミドル世代には、もってこいのクルマになるはずだ。新型クラウンエステートに期待する性能と、ライバルになるであろうクルマをピックアップしてみよう。
文：吉川賢一／写真：TOYOTA、SUBARU、BMW、Mercedes-BENZ、VW、Audi、VOLVO
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大人しい外装が、エアロパーツ装着によって、どこまで華やかになるかは期待!!
新型クラウン4シリーズが世界初公開となってからおよそ2年半、ようやく発売が決まった新型クラウンエステート。発売前のいま、新型クラウンエステートに期待していることのひとつは、エアロパーツ装着によってエクステリアデザインがどこまで華やかになるかだ。
大胆なデザインのクロスーバーや、スポーティさが売りのスポーツ、フォーマルだが主張の強いセダンも魅力的だが、エステートは大人に似合う落ち着いたデザイン。これはこれでよいと筆者は思うのだが、やはりもう少し華やかさがあったほうが、売れるモデルになるだろう。エアロパーツ装着によってどれだけ華やかになるかは、非常に興味深いところだ。
また、高い高速直進安定性と、快適な乗り心地も期待したい。エステートは、最大2m超という長い荷室をもち、キャンプギアやサーフボード、スキーアイテム、ゴルフバッグなど、あらゆるツールを余裕で積み込むことができる。これらを満載して遊びにいく用途が想定されるエステートには、ほかのクラウンシリーズよりも、長距離移動でも疲れにくい高い高速直進安定性と、快適な乗り心地が求められる。「さすがはクラウン」を思わせてくれるような性能をみせてくれることを期待している。
そしてもうひとつ、欧州ディーゼル車と対等に戦える、実燃費リッター20kmを超える燃費性能も期待したい。新型クラウンエステートのパワートレインは、2.5Lエンジン＋モーターのハイブリッドと、同PHEVの2種類と発表されている。グローバルで戦うことになる新型クラウンエステートには、できれば、価格が高くなりがちなPHEVよりも、欧州車のように、低燃費（しかも軽油も低コスト）かつトルクフルなディーゼルターボエンジン車があって欲しかったところだが、本命となると思われるハイブリッド車で、欧州ディーゼルワゴンたちと対等に戦える燃費性能を実現させてほしい。
ライバルはベンツCクラス、BMW3シリーズ、VWパサート、ボルボV60か
クラウンエステートの価格は、クラウン（スポーツ）よりもやや上昇すると予想されている。仮に、クラウンエステートのハイブリッド車を税込650万円、PHEVを800万円とすると、想定されるライバルは、上級クラスの国産ステーションワゴンや、ミドルクラスの欧州製ワゴンたちになるだろう。
国産車では、スバルのレガシィアウトバック（税込426～451万円）がライバルとなりえたが、アウトバックは、2025年3月をもって販売終了することが正式決定している。全長4870 mm×全幅1875 mm×全高1670mmのボディサイズは実に立派で、スバルのフラグシップとして心強い存在であった。このアウトバックに、クロストレックに搭載しているストロングハイブリッドが投入されていたならば、新型クラウンエステートと、よいライバル関係になったかもしれない。
輸入車だと、メルセデスベンツCクラスステーションワゴン（税込740～865万円）やBMW 3シリーズツーリング（税込676～988万円）、フォルクスワーゲンパサート（税込524～724万円）、ボルボV60（税込649～909万円）あたりが比較対象となるだろうか。高年式の中古車であれば、Eクラスステーションワゴン（税込928～1139万円）やBMW 5シリーズツーリング（税込840～1600万円）、ボルボV90（税込924～1109万円）などのアッパークラスのステーションワゴンもライバルになるかもしれない。
これらの欧州ステーションワゴンは、いずれも優れたデザインと高速走行性能に加えて、何世代もつくり続けてきた歴史の重みもあり、顧客からの信頼が抜群に高い。もちろんクラウンも歴史ある名車だが、ワゴン（トヨタはクラウンエステートを「SUV」としているが、「エステート」という名とスタイルからはワゴンとみていいだろう）となると話は別だ。走行性能や燃費で多少勝てたとしても、総合的にみて、ユーザーが満足いく価値を提供できるのか、この辺りが勝負となるはずだ。欧州ワゴンの壁は分厚く、そして高い。
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