ただ、日本においては「脅威」とはならないのでは
日本自動車販売協会連合会によると、2024年のBEVの販売台数は34,057台。2023年は43,991台だったので、2 割以上も落ち込んでいる。日本でいちばん売れているBEVである日産「サクラ」も、三菱「eKクロスEV」との合計で、2024年は25,430台と、2023年の44,161台から4割以上も販売台数が落ち込んでしまった。BEVに関心のあるユーザーにひと通り行き渡った、というのが主な理由だと考えられる。
そうなると、BEVがここから拡販していくには、これまで航続距離や価格を理由にBEVを敬遠してきたユーザーにも、上手くアプローチしていく必要があるが、インスターは、数字の上ではこれらを着実にクリアする存在となっており、日本ユーザーの関心を再びBEVに向けさせる起爆剤となる可能性はあるかもしれない。
しかしながら、BEVの価格を大きく左右するバッテリーのコストは、中国や韓国のバッテリーメーカーが実権を握っており、インスターのような廉価かつ航続距離のBEVを国産メーカーがつくることはできない。完全に日本メーカーの負けだ。
ただ、ハイブリッド車が普及している日本において、インスターのコスパがいいとはいえ、割高となるBEVをわざわざ選ぶ人は少ないと思われ、インスターの登場は、日本市場においてそれほど脅威ではないのでは、と考えられる。
また、日本メーカーにも打つ手はあるはずだ。日本市場のユーザーの動向は日本の自動車メーカーが一番よく知っているので、使い勝手などの面でさらなる魅力向上を図ることはできるはずだし、航続距離は、サクラ/eKクロスEVと同等の航続距離(カタログ値180km)でいいので価格を下げることができれば、インスターよりも、サクラやeKクロスEVよりも、更に廉価な国産BEVを選ぶ人は少なくないのではないだろうか。
◆ ◆ ◆
とはいえ、インスターの登場は、国産メーカーにとって、革新と競争力強化の契機となるだろう。またユーザーにとっては選択肢が増えることで、より自分のライフスタイルに合ったBEVを選ぶことが可能となる。今後の動向には注目だ。
【画像ギャラリー】驚愕のコスパを実現した、ヒョンデの新型コンパクトBEV「インスター」(15枚)画像ギャラリー















コメント
コメントの使い方