2025年1月の東京オートサロンで、ヒョンデの新型コンパクトBEV「インスター」が日本初公開された。軽自動車よりひと回り大きなボディに大容量バッテリーを搭載しながら、価格は284万9000円からと、国産ハイブリッド車とも競争できる設定になっており、コストパフォーマンスの高さを武器に、日本のBEV市場に大きく切り込む存在となると思われる。インスターの特徴とともに、日本のBEV市場の未来についても考察していこう。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:HYUNDAI、NISSAN
【画像ギャラリー】驚愕のコスパを実現した、ヒョンデの新型コンパクトBEV「インスター」(15枚)画像ギャラリーコンパクトながら実用的なボディサイズ 驚くべきはコスパ
インスターのボディサイズは、全長3,830mm×全幅1,610mm×全高1,615mm、ホイールベースは2,580mmと、日本の5ナンバー枠に収まるサイズ感。最小回転半径も5.3mと、トヨタの「ヤリスクロス」と同等の取り回しの良さを実現している。
バッテリー容量は42kWhと49kWhの2種類。日本で一番売れているBEVの日産「サクラ」は20kWhで一充電あたりの走行可能距離は180km(WLTCモード)だが、インスターは欧州仕様で最大370km(WLTPモード)とのことなので、(日本仕様の走行可能距離はまだ発表となっていないが)日本仕様でも長距離ドライブに対応できる可能性が高い。
それでいて、価格は284万9000円からと、サクラの上級グレードGよりも安価。バッテリー容量やボディサイズを考慮すると、直接的なライバルは中国BYDの「ドルフィン」だが、こちらは40kWh仕様で363万円。さらに、日産「リーフ」40kWhモデルは408万1000円、プジョー「e-208」50kWhモデルは512万4000円と、バッテリー容量がそれほど変わらないのに100~150万円も安価となるなど、勝負にならない価格差。まさに驚愕のコスパを実現したクルマなのだ。
安価ながら、中身も充実
これだけ手ごろな価格だと、中身が不安になるところだが、(まだ詳細な部分については、情報が公開されていないものの)インスターはどうやら中身も充実しているようだ。
デザインは丸型のライトを前後に配置したアイコニックなスタイルで、個性的でありながら、使いやすさやクリーンなイメージも感じられ、悪くない。エントリーグレード(カジュアル)は、ハロゲンヘッドランプやバルブタイプのリアコンビネーションランプの採用となるが、中間グレード「ヴォヤージュ」以上ではフルLEDヘッドランプやLEDリアコンビネーションランプ、ルーフレール、本革巻ステアリング、15インチアルミホイール、前席シートヒーターなどが装備される。それでも価格は335万5000円と、ドルフィンより安価だ。
インテリアも、10.25インチのディスプレイを中央に配置し、ドライバーズメーターも同サイズのディスプレイを採用するなど、現代的な装備を完備。BEVならではの空間効率を活かし、前席ウォークスルーや広い後席足元スペースを確保することで、ボディサイズ以上の快適性も実現している。
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