2014年に惜しくも世を去った自動車評論家の前澤義雄氏。かつて紙のベストカーに連載された『デザイン水かけ論』にて、前澤氏とカーデザインについて対話していた清水草一氏が当時を回想しつつ振り返るクルマの「端正感」とは!?
※本稿は2025年2月のものです
文：清水草一／写真：フォルクスワーゲン、ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出：『ベストカー』2025年3月26日号
クルマにおける「端正感」ってナニ？
端正感は、シンプルさに上質感や優雅さが加味された状態だ。前澤さんがその代表例として挙げていたのが、VWの4代目ゴルフやup! だった。
「すべてに必然性があるような形で、デザインのためのデザイン、装飾的な部分はほとんど感じられない。そこに凄みがあった」（4代目ゴルフ）
「シンプルの極みだが、眼を凝らすと、アチコチに情感を匂わせる配慮が込められ、隠し味のように香り立つ」（up!）
現行モデルでは、SUVとしては異例に直線基調で、シンプルに鍛えこまれたフォルムを持つヴェゼルなどは、端正感が高いと言えるだろう。
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「ワイド＆ロー」と「ナロー＆ハイ」
「クルマは、幅が広くてペッタンコなら、自動的にカッコよくなる」（前澤氏）。それがワイド＆ローだ。つまりスーパーカーはカッコよくて当然であり、そのなかで抜きん出なくてはならないのである。
逆に幅が狭くて背が高いフォルムは、自動的に不安定に見える。その代表が軽ハイトワゴン。それでもカッコいいデザインは可能だ。
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