クルマはモデルチェンジの度に大型化する傾向がある。これにはさまざまな理由があるが、スポーツカーであれば運動性能をスポイルしてしまうことにもつながりかねない。しかし、そんな中でも肥大化をプラスに変えたクルマもある。大きくなっても速さは抜群、そんなスポーツカーを紹介しよう。
文/木内一行、写真/日産、ホンダ、マツダ、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】デカくても速い!! 一度は乗りたい珠玉のスポーツカー4選(16枚)画像ギャラリー「肥大化で手に入れたマイナス21秒のロマン」日産スカイラインGT-R(BCNR33)

16年ぶりに復活し、第2世代GT-Rの先鋒として登場したR32GT-R。2.6リッターツインターボのRB26DETTと電子制御トルクスプリット4WDシステム・アテーサE-TSの組み合わせにより異次元の速さを見せ、グループAレースでは無傷の29連勝を達成するほどの活躍を見せた。。
そんなR32GT-Rも、1995年にはR33へスイッチ。
ところが、R32よりも全長が130mm拡大、ホイールベースは105mm延長、そして100kg重くなったボディなどが原因で、人気を落としてしまったのだ。
しかし実際には、ボディ各所に補強を施して剛性が高まり、延長されたホイールベースによりコーナリング性能もアップ。
RB26DETTは最高出力こそ変わらないものの、最大過給圧を高めるとともにコンピュータ制御の見直しや吸排気系の改良などを行い、最大トルクが1.5kg-mアップして中速でのピックアップも向上した。
こうした進化の結果は、ニュルブルクリンクのラップタイムにも表れた。R32では8分20秒だったが、R33では7分59秒を記録。約21秒も短縮したことから「マイナス21秒ロマン。」というキャッチフレーズがつけられたのである。
肥大化だのなんだのと言われるR33GT-Rだが、ニュルブルクリンクのラップタイプという物差しで見れば間違いなくR32GT-Rを超えるスーパースポーツだったのだ。
「大きくなっても受け継がれた人馬一体」マツダ・ロードスター(NC)
軽量コンパクトなオープンスポーツとして1989年にデビューしたロードスター。
2代目もエンジン、ボディ、基本パッケージを受け継いだ正常進化版として人気を獲得したが、3代目NCではガラリと変身。これがファンから賛否両論を生んだ。
2005年に登場したNCは、RX-8のプラットフォームがベース。そのためボディは3ナンバーサイズとなり、ホイールベースも延長。
先代と比べると全長と全幅は40mmずつ拡大され、ホイールベースは65mmも長くなった。これに伴い、車両重量は60kg増加。エンジンも大きくなり、2リッター直4が搭載された。
こうした変化により、それまでのファンからは「軽快さがスポイルされた」という声が聞かれるようになり、不人気とまで言われるようになってしまったのである。
しかし、プラットフォームの基本性能が高く操安性に優れているし、エンジンはトルクがあるから乗りやすく、高速走行にも余裕が生まれた。
さらに、初代から続く「人馬一体」を継承し、可能な限り軽量化を施す「グラム作戦」も推進。加えて。ボディ剛性向上、低重心化、50:50の前後重量配分、ヨー慣性モーメントの低減を徹底追求。オープンスポーツらしい走りに磨きをかけたのだ。
とかく、大きくなったとか重くなったとかネガなことばかり言われがちなNCだが、そのポテンシャルはかなり高い。
















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