「セダンボディでファミリー層も取り込む」ホンダ・シビック タイプR(FD2)
スポーツカーの場合、サイズアップすると批判されることが多々ある。しかしシビック・タイプRは、大きくなって飛躍的にポテンシャルが高まった珍しいパターンだ。
初めてシビックにタイプRが設定されたのは6代目。ハッチバックボディにテンロクエンジンというパッケージはまさしくホットハッチ。続く2代目は英国生産の輸入車となったが、ハッチバックスタイルに変わりはなかった。
そして2005年に登場したのが3代目タイプR。FD2の型式でおなじみのこのモデルは、ベース車に合わせて4ドアに変更。ボディも3ナンバーサイズとなった。
セダンになったとはいっても、従来のタイプRと同じように運動性能を徹底的に研ぎ澄まして操る喜びを追求したことに変わりはなく、すべてにおいて専用のチューニングを実施。
また、セダンになったことでボディ剛性が大幅に向上。K20Aユニットも強力で、サーキットでは比類なき速さを誇ったのだ。
セダンボディの恩恵はそれだけにとどまらず、実用性や利便性が向上したことでファミリー層のユーザー獲得にも成功したのである。
たしかに、ボディはひと回り大きくなり、車重も増えた。しかし、それが走りに直結しているのだから文句のつけようがない。
ちなみに、現行タイプRはシリーズ中、最大の大きさだが、パフォーマンスも一級品。それはニュルブルクリンクFF最速という肩書きが証明している。
「大人のスポーツへと転身したMRスポーツ」トヨタ・MR2(SW20)

国産市販車初のミドシップとして華々しくデビューしたMR2。
カローラ系のシャシーを前後反転させるという斬新な発想から生まれた初代はライトウエイトスポーツの要素が強かったが、2代目SW20はひと回り大きくなって大人のミドシップスポーツになった。
そのSW20、初代との共通点は2 シーターのミッドシップということだけ。コンポーネントはセリカ系を流用し、全長を220mm、全幅は30mm拡大。
ホイールベースも80mm延長され、スタイリングも伸びやかで美しいフォルムとなった。
搭載されるエンジンも2リッター直4の3S型になり、ターボ仕様は225ps(初期型)を発揮。そのフィーリングはかなり刺激的なものだった。
しかし、このパワーにシャシーが追いつかずジャジャ馬的なフィーリングになったこともあり、評価は決して高くなかった。
ただし、その後は改良を重ね、その度に走りのパフォーマンスが向上。そして、5型と呼ばれる最終型で熟成され、完成の域に達したのである。
初代よりもサイズアップして軽快さこそ薄れてしまったSW20だが、ハイパワーを生かした走りはまた違った楽しみもある。その結果、10年も販売されたロングセラーに成長したのだ。
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