近年シフトセレクトの操作方法や種類が多種多様となっている。昔はフロアのシフトレバーがほとんどであったが、シフトレバーの形状や操作方法など、その姿かたちはメーカーによって様々だ。その中でも他のメーカーと似ても似つかないのがメルセデス・ベンツのシフトセレクターだ。この形状を採用する理由はどこにあるのだろうか?
文:西川 昇吾/画像:メルセデスベンツ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】DRPNはすべて手元で! ベンツのダイレクトセレクトレバーのイマ昔 なつかしのW221型Sクラス&現行ベンツ選!(19枚)画像ギャラリーメルセデスベンツはどうやってギア操作をするの?
最近のメルセデスベンツのインテリアの写真を見てシフトレバーやシフトセレクターを探してみると、すぐには見当たらないという人も多いのではないだろうか?実はメルセデスベンツのシフトセレクターである「ダイレクトセレクトレバー」はステアリングコラム右側にレイアウトされている。
一見するとウィンカーレバーのように見えるこのレバーを上に上げると「R」を、下に下げると「D」をセレクトしたことになる。「R」と「D」の間に「N」がレイアウトされている。なお、Pはレバー先端のボタンを押すことでセレクトが可能だ。
日本車に乗りなれている人からすると「ウィンカーと間違えて危ない」という声があるかもしれないが、そこは安全性にこだわるメルセデスベンツ。走行中に誤操作してもいきなり「R」などには入らないようになっている。
なお、他の輸入車と同じように左側はウィンカーレバーとなっているが、「じゃあワイパーはどうやって操作するの?」という声もあるだろう。ワイパーも実は左側のレバーに集約されているのだ。
もしも、初めてメルセデスベンツを運転するという時が来たら、この辺りの操作方法は一通り確認しておくべきと言える。
始まりはW221のSクラス
では現在のダイレクトセレクトレバーがメルセデスベンツで採用されたのはいつなのだろうか?それは2005年に登場したW221型のSクラスからだ。自動車は21世紀に入ってから電子制御の進化によって、機械的なシフトレバーに代わるシステムの導入が可能となった。
近年のシフトレバーの形状が変化しているのがその背景にあるが、メルセデスベンツはその先駆けとも言えるインターフェースをSクラスで行ったのだ。
ダイレクトセレクトレバーを当時のSクラスで導入した理由は様々だが、現行モデルと同じように室内空間の確保という側面も大きかった。ただ、最上位モデルであるSクラスに導入したのは、このモデルがメルセデスベンツの技術革新と高級感のシンボルであることを示す意味合いも大きかった。
いつの時代もSクラスは当時の最新技術を投入されるフラッグシップモデルであるが、W221は時代をリードするハイテク装備が満載であった。
その象徴としてドライバー誰もが操作するシフトレバーをダイレクトセレクトレバーに置き換えたのもあったのだろう。
以降、様々なメルセデスベンツにダイレクトセレクトレバーは採用されており、今や同ブランドのスタンダードなインターフェースとなった。その背景には、操作性の向上と室内空間の有効活用が大きな理由にある。シフトレバーを廃することで、ダッシュボードやセンターコンソールのデザインの自由度が大きくなるのだ。
ただ、ここまで採用が広がっているのはそれだけではなく、市場から評価されている証拠にもなっていると言える。
確かに実際に運転してみると、ステアリングから手を放さずにシフト操作が出来るのは、前進と後退を繰り返す駐車時などとっても便利に感じる。また、意識しているのもあるが、自然とウィンカーレバーと間違えて操作してしまうこともない。慣れてしまうととっても使いやすい。
メルセデスベンツからメルセデスベンツに乗り換えるユーザーが多い印象だが、このようなちょっとした操作の利便性の高さなどが背景にあるはずだ。





















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