これまでの「財産」があることも日産の希望
また、これまでクルマを数多く開発し、ファンに愛されてきたことも日産の希望だろう。日本国内では、ここ2年間ほど新型モデルを発表していないが、海外では2024年度だけで、新型キックスや新型ムラーノ、新型キャシュカイ、新型アルマーダ/パトロール、インフィニティQX80などを投入しており、グローバルでのラインアップは決して少なくない。
そのため、新規開発が難しくても、たとえば米国市場や欧州市場に、国内のノートオーラやエクストレイルe-POWER、軽自動車を投入してみたり、国内に米国キックスやムラーノやパスファインダー、英国ジュークやキャシュカイを投入するということはできるはず。また、かつて販売していたクルマを最新にアレンジして販売したり、既存のモデルを使って過去の名車をオマージュしたようなモデルを開発するというのもいいと思う。
もちろん何でもかんでもやればいいというわけではなく、コストも膨大にかかることなので慎重にやるべきではあるが、最小限のコストで利益を得ることができるよう、使えるものは使うべきであり、それがあること自体、日産の大切な財産だ。日産関係者によると、他市場のクルマを販売するという案はこれまでも企画開発チームから幾度も出ていたそうだが、全てお蔵入りとなってきたそう。新しい経営体制でこうした方面にも動きがあることを期待したい。
まずは悪しき風習をリセットし「種」を大切に育ててほしい
日産によると、2024年度の売上高は12兆6332億円だという。営業利益と当期純損失は冒頭で触れたように698億円と6709億円だ。2023年度は売上高12兆6857億円、営業利益5687億円、当期純利益4266億円、2022年度は、売上高10兆5967億円、営業利益3771億円、当期純利益2219億円だったので、売上高はほぼ変わっておらず、営業利益が激減していることが大きな問題。
日産は「主に米国市場や中国市場の需要に対し、適切な商品を適切なタイミングで供給できていなかったこと(販売パフォーマンスの悪化)が原因」としており、北米や中国でクルマが売れないことで、多大なインセンティブ(販売奨励金)を出したことが主な要因だ。実力に見合わない過剰な生産設備を確保していることも損失に繋がっただろう。
これまでは技術力があっても商品としては空振りも少なくなかった日産だが、商品企画出身のエスピノーサ氏の社長就任で、この「適切な商品を適切なタイミングで供給できなかった」という点はずいぶん解消できるような気がする。日産が復活のために勝負するべきなのは、やはり米国市場だ。まずは現在の値引き販売をやめ、いいクルマを適正な価格で売る流れに正したうえで、こうした「種」を大切に育て、復活してくれることを期待している。
【画像ギャラリー】過去最大の赤字から復活できるか!?? がんばれ日産!! 日産国内ラインアップの売れ筋モデル(39枚)画像ギャラリー








































コメント
コメントの使い方業績不振の要因は、
「拡大路線の失敗」
ではなく、
「モデルチェンジの凍結」
「車種の削減」
でしたから、車種が復活して販売台数さえ復活すればリストラの必要はない筈ですよね。
普通の国なら政府が介入するレベルの話かと思います。