国内日産の現在のSUVラインアップは、エクストレイルとキックスの2車種のみ。BEVのアリアを含めてもたった3車種だ。トヨタは、ライズからランドクルーザー300まで、計12車種もSUVをラインアップしているのに、なんとも寂しい状況だ。
ただ日産も、海外ではほかにもSUVをたくさんラインアップしており、なかには日本市場にもフィットしそうなモデルもいくつかある。特に東南アジア市場で販売している「テラ」は、日本市場にちょうどよいのではないだろうか。
文:吉川賢一/写真:NISSAN、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】デカくてゴツくてカッコいい!! ぜひとも日本にも欲しい日産の3列シートSUV「テラ」(16枚)画像ギャラリー東南アジアなどで販売されている3列シートSUV
国内ラインアップからは想像がつかないが、日産は海外市場においては、ピックアップやSUVを数多くラインアップしている。東南アジアや中国、アフリカ向けに販売してきた3列シートのSUV「テラ」もそのうちのひとつだ。
かつて日本でも販売されていた「テラノ」(1995-2002)と名称は似ているが血はつながっておらず、現行モデルのテラは、ミドルサイズのピックアップトラック「ナバラ」(2014-)をベースとするモデル。車体には頑丈なラダーフレームを採用しており、そのタフネスさを武器に、東南アジア市場においてトヨタ「フォーチュナー」や三菱の「パジェロスポーツ」、いすゞ「Mu-X」などと販売合戦を繰り広げている。
いかにもオフローダーといったエクステリア
現行モデルのテラは、2021年にマイナーチェンジを受けたモデルだ。ボディサイズは、全長4890mm×全幅1865mm×全高1865mm、ホイールベースは2850mm、車重は2072kgと、エクストレイル(4660×1840×1720)よりもひと回り大きいサイズ感だ。最小回転半径は5.7mと、このカテゴリの車種にしては平均的だ。
エクステリアは、お馴染みのVモーショングリルと、CシェイプのLEDシグネチャー入りヘッドライト、大型フロントグリルによってワイルドな印象。張り出した前後フェンダーや、255/60R18サイズの大径タイヤも大迫力で、最低地上高が225mmもあるため、いかにもオフロード走行に強い雰囲気が感じられる。リア周りも、大型LEDテールランプやルーフスポイラーが特徴的で、リアハッチゲートは大開口でいかにも使いやすそうだ。
上級仕様のテラスポーツにはさらに、フロントVモーショングリルからフロントアンダーディフューザー、アウタードアハンドル、サイドミラー、ルーフレールに至るまでブラック加飾が施されている。タフで力強いテラの雰囲気が引き締められ、かなりかっこいい。
インテリアは、最新とはいえないものの贅沢な内容
インテリアは、2-3-2配列でシートがレイアウトされており、室内空間はかなり広い。アリアやエクストレイルといった最新の日産車のインテリアと比べてしまうと若干古さを感じるし、運転席前のデジタルメーターや、Android AutoやApple Carplay対応の9インチタッチスクリーン付ディスプレイオーディオも最先端とはいえないものの、本革素材やファブリックを巧みに使い、BOSEの8スピーカーによるプレミアムサラウンドサウンドシステムや、後席乗員向けの11インチフリップダウンモニターなどによってエンターテインメント性も確保されるなど贅沢な仕様となっており、十分に満足できる内容だ。
パワートレインは、最高出力140kW(190HP)、最大トルク450Nmの2.3リッター4気筒ディーゼルツインターボ一本のみ。トランスミッションは7速ATで、駆動方式は2WDと4WDが用意されている。テラスポーツは4WDのみだ。
現地(タイ)での車両価格は119万9000~155万5000バーツ、日本円換算だと525万~680万円(参考:1バーツ4.4円)とかなり高価だが、現地ではセレナ(先代ガソリン車のハイウェイスター)が146万9000バーツ(日本円643万円)で販売されているので、ファミリー向けとして考えれば、テラは(現地では)リーズナブルな7人乗りクロスオーバーSUVといえるかもしれない。
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