昭和、平成、令和と、3つの時代を超えて迎えた2025年は、ちょうど昭和100年にあたる年。そこで、昭和から2025年までに登場したクルマの中から、その技術力に驚愕した10台を国沢光宏氏に選んでいただいた。
※本稿は2025年4月のものです
文:国沢光宏/写真:トヨタ、日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年5月26日号
筆頭は燃料電池!
日本が世界を圧倒した技術の筆頭は燃料電池に間違いない。この技術、メルセデスやGM、フォードなど世界中の自動車メーカーがほとんど同時に技術開発を始めた。
いや、自動車メーカーだけでなく化学を専門とする企業まで手がけている。どのメーカーも相当の開発コストを投じたことだろう。けれど市販レベルまで持ち込めたのはトヨタだけ(今はヒョンデ)。ホンダですら販売できずリース対応のみだった。
次点はプリウスで世に出たハイブリッド車である。アイデア自体はあったものの、実現できたメーカーは世界広しといえどもトヨタだけ。しかも現在に至るまでトヨタのシステムを凌ぐコストパフォーマンスを持つハイブリッドが出てきていない。
さらに凄いのは、トヨタのマネをしたハイブリッドすら作れないでいる。スバルは相当頑張ったけれど、やっぱりトヨタのシステムであります。世界を圧倒した技術だと思う。
自動車用のリチウムイオン電池の開発に成功したのも日本である。リチウムイオン電池の技術は古くからあったものの、高性能&大容量タイプとなれば実用化にはほど遠かった。わずかな異物の混入で熱暴走するため、大きな容量にすると手が付けられない状況になってしまう。
そいつを克服したのが日産と三菱自動車である。残念というか情けないのは、燃料電池もリチウムイオン電池も日本政府が凄さに気づいていないこと。
BYDなどが積極展開し、今後20年の主力になりそうなシリーズハイブリッドタイプのPHEVだって、これまた日本で始まった技術である。
こう書くと「BMWのi3もほぼ同時でしょ」と思うだろうけれど、i3はレンジエクステンダーであり、電気自動車が生まれた時点から存在した。電欠したらエンジンは単に発電するだけ。
アウトランダーPHEVのシステムは、電池がなくなっても普通に走れてしまう。この技術も追い抜かれてしまった。
5位以下はさまざまな技術を並べてみた。初代シビックで実用化したCVCCエンジンは、世界で初めての厳しい排気ガス規制であるマスキー法のクリアに成功した。当時、マツダのロータリーと並び世界中の自動車メーカーに衝撃を与えたほど。
もちろんロータリーエンジンの実用化だって日本だ。そのほか、4WDの電子制御技術は日本の得意分野です。




















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