その昔、世界の自動車界をリードしていた欧州勢。しかし米国車や日本車の台頭で存在感が希薄に。そこで電動化を自ら推進し、技術的優位の再奪取を狙ったのだが、今度は中国車がEV界を席巻。そこで欧州勢がとった行動は……中国を頼ることだった!?
※本稿は2025年4月のものです
文:角田伸幸/写真:ルノー
初出:『ベストカー』2025年5月10日号
中国企業と手を組む欧州メーカー
そもそも欧州がEVに積極的だったのは、脱炭素の流れの中で電動化技術を先取りし、ヨーロッパの技術優位を取り戻そうという狙いがあったから。
ところが事態は思わぬ方向に進んでいる。圧倒的な競争力を持つ中国メーカーに、支援を仰ぐ欧州メーカーが相次いでいるのだ。
動きが早かったのがステランティス。旧カルロス・タバレスCEO時代に中国EV新興のリープモーターに出資し、同社工場をポーランドに作ると発表した。ここで作られるマイクロEVのT03は、1万8900ユーロ(約306万円)という低価格が武器だ。
ほかにも、上海汽車や第一汽車と提携してきたフォルクスワーゲンは、新興の小鵬(シャオペン)汽車と手を組んだ。仏ルノーは、新型トゥインゴを2万ユーロ以下で販売するため、中国に開発拠点を開設した。
なにやら欧州の手頃なEVは、中国とのコラボ商品ばかりになりかねない状況だが、EUには苛烈な炭素税もあり、この動きをすぐさま止めることは難しい。
この現実をどう受け止めるか。欧州の今が日本の明日にならぬことを祈る!
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