車名は違えど中身は同じ!?  エンブレム違いのOEM車が面白すぎる件

車名は違えど中身は同じ!?  エンブレム違いのOEM車が面白すぎる件

 他社が製造した車両を仕入れ、自社ブランドのクルマとして販売するOEM車。エンブレムだけ違うものもあれば、顔つきがまったく違うモデルもあり、深掘りするとなかなか興味深い。今では多くのメーカーで扱うOEM車のなかから、ユニークなケースをいくつか紹介しよう。

文/木内一行、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、CarsWp.com

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「3メーカーで兄弟だったOEM車たち」 スズキ・アルト/ダイハツ・ロッキー

車名は違えど中身は同じ!?  エンブレム違いのOEM車が面白すぎる件
2004年にモデルチェンジした6代目アルトは「円と直線」をテーマにした個性的なエクステリアデザインが特徴。前期のフロントグリルは格子状だった。インテリアでは、パズル柄パターンを採用したシートがユニーク

 軽自動車から大型サルーンまで、さまざまなOEM車があるが、なかにはひとつのモデルから複数のOEM車が生まれることもあった。

 積極的にOEM車を供給しているスズキも、アルトを数社に供給していた。

 ひとつはマツダで、1998年に5代目アルトのOEM車がキャロル(4代目)として発売された。キャロルといえば、マツダ5チャンネル体制時に投入された個性的なデザインの2代目が有名だが、アルトの兄弟車となったのは4代目からだった。

 続く5代目は2004年に登場。

 アルトのモデルチェンジから2週間ほど遅れて発売され、フロントグリルを専用品に交換し、マツダエンブレムを貼付。女性ユーザーをターゲットにリメイクされた。

 その後もスズキとマツダの関係は続き、8代目となる現行モデルもアルトのOEM車としてラインナップ。マツダのベーシック軽として、重要なポジションを任されている。

 もうひとつは日産だ。

 6代目アルトの供給を受け、「ピノ」として2007年に発売。日産コンパクトカーの末っ子という位置付けだった。アルトとの違いはこちらも専用マスクで、この他に雪の結晶をイメージしたホイールキャップやサイコロ柄のシートデザインを採用し、差別化を図った。

 ただ、アルトは2009年12月にモデルチェンジするものの、ピノはその翌月に販売終了。1世代、約3年という短命に終わった。

 結果的にはキャロルとピノで明暗が分かれたが、6代目アルトが軽自動車で初めて3兄弟を形成したのだ。

 3兄弟となると、最近ではダイハツ・ロッキー、トヨタ・ライズ、スバル・レックスもそう。

 ロッキーとライズはダイハツとトヨタの共同開発車だが主導はダイハツで、同社の新しいクルマ作りのコンセプト「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に基づいて開発。生産もダイハツの滋賀工場で行うため、ライズはOEM車扱いとなる。

 ただ、エクステリアはフロントのデザインが異なり、ロッキーはヘキサゴングリルでSUVらしい力強さを表現するのに対し、ライズはトヨタ独自のキーンルックでシャープな表情を演出。ちなみに、パワートレインに両者の違いはない。

 レックスに関しては完全なロッキーのOEM車。エクステリアの変更点もエンブレム程度だ。ただし、エンジンは1.2リッターのガソリンのみで、ターボやハイブリッドは未設定。駆動方式もFFのみとなる。

「複数投入でひとつの軍団を形成」 トヨタ・ピクシスシリーズ

 グループ会社も含めると世界トップの販売台数を誇るトヨタだが、これまでに軽自動車を自社開発したことはない。

 とはいえ、年々多様化するユーザーニーズに応えるには軽自動車が必要。そこで、開発コストを抑えるためにグループ会社のダイハツから軽自動車のOEM供給を受け、「ピクシス軍団」を作り上げた。

 まず2011年9月に投入されたのが、ムーヴコンテをベースにしたピクシススペースだ。スクエアなセミトールスタイルで、標準仕様とエアロを装着するカスタムを設定。

 後者にはターボエンジンも搭載された。ムーブコンテとの違いはエンブレムのみで、同グレードでも装備は少々異なる。ただ、トップバッターとして登場しながら、消滅したのも一番早かった。

 続いてリリースされたのがピクシスエポック。これは燃費自慢のミライース(初代)がベースとなっており、ガソリン車トップレベルの燃費性能を達成しながら、79万5000円〜というプライスを実現。ミライースとはエンブレムで差別化された。

 ちなみに、2017年にはベースがモデルチェンジした数日後にエポックも2代目に移行した。

 2015年にはピクシスメガを投入。

 前年に登場したウェイクがベースで、スーパーハイトワゴンならではの広大な室内空間が魅力。1455mmという室内高は、ミドルサイズミニバンを凌ぐほど。このメガも、他のピクシスシリーズ同様にエンブレムで差別化されている。

 そして、キャストをベースにしたピクシスジョイが2016年にデビュー。

 本家ではキャラクターの異なるアクティバ、スタイル、スポーツという3種を設定したが、ジョイではC(クロスオーバー)、F(ファッション)、S(スポーツ)と名前を変えてラインナップ。エンジンは、CとFは自然吸気とターボ、Sはターボのみだった。

 また、乗用だけでなく商用車でもOEM車を供給。ハイゼットバン/トラックをベースにしたピクシスバン/トラックが2011年12月に登場。

 こうしてトヨタのなかにピクシス軍団ができたわけだが、現在生き残っているのはエポックとバン/トラックの3種となっている。

 ちなみに、マツダもフレア(同カスタムスタイル、クロスオーバー、ワゴン、タフスタイルなど)としてひとつの軍団を作り上げている。

次ページは : 「供給元が変更されたレアケース」 スズキ・ランディ

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