トヨタのオーパさんは一体何もの!? ミニバンでもセダンでもワゴンでもなくてとにかく不思議!!

トヨタのオーパさんは一体何もの!? ミニバンでもセダンでもワゴンでもなくてとにかく不思議!!

 クルマはカテゴリーに大別されるものだ。セダン・ワゴン・ミニバン・SUVなどの枠にハマるクルマがほとんどなのだが、時々カテゴライズできないクルマが生まれることもある。2000年に登場したオーパも、カテゴライズの難しいクルマの一つ。狙って作った中間的なクルマ、トヨタ オーパを振り返っていこう。

文/佐々木 亘:写真/ベストカーWeb編集部

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中間的なクルマを作る

革新的な1台が登場した瞬間であった
革新的な1台が登場した瞬間であった

 オーパが目指したものは、ミニバンの居住性と多様性、さらにセダンの走りを融合させた性能。その上で見た目はワゴン風というものだ。開発時、チーフエンジニアからは「セダンでもミニバンでもワゴンでもない、どこか中間的なクルマ」が提案されたという。

 その形が具現化されたのは、1999年の第33回東京モーターショー。参考出品されたオーパは、翌年にほぼそのままの形で市販化されている。

 ボディ全長はカローラとほぼ同等の4250mm、全幅も5ナンバーサイズの1695mmでありながら、ホイールベースは2700mmと超ロングだった。

 そのため室内サイズは、長さ2025mm×幅1400mm×高さ1250mmと、クラス最大の数値を実現している。ちなみに、室内長2000mm超という数字は当時のクラウンよりも長い。

 オーパは2列シートの5人乗りで、キャビンも荷室も広さは十分。さらにリアシートは120mmのスライドができ、最後端まで下げるとショーファーカーレベルの足元スペースを作り出すことが可能だった。

 ワゴンの見た目にセダンの走りとミニバンのユーティリティ性能。これらを高次元で融合させたクルマが、オーパなのである。

画期的な装備が多かった

どこか現代風なイメージであると捉えれる内装
どこか現代風なイメージであると捉えれる内装

 オーパに搭載されたエンジンは、直列4気筒の2.0L D4エンジンと1.8Lの2種類で、VVT-iを採用したことにより、低燃費と動力性能の両立をはかっていた。

 トランスミッションには1.8Lに4ATを組み合わせ、2.0Lにはトヨタ初のCVTを搭載している。セレクターレバーはコラム式で、室内にもミニバン的な要素があった。

 また、面白かったのはシートの色だ。初期型のオーパでは、フロントにベージュ系、リアにブラック系の異なるシート表皮色を採用している(S packageを除く)。

 これをデュアルツートンと呼び、室内の空間づくりやプライベート間の演出に一役買っていた。なおデュアルツートンは2002年のマイナーチェンジで廃止されている。

「良い」にはなり切れなかったオーパ

イマイチ販売台数は伸びなかった……
イマイチ販売台数は伸びなかった……

 モデルライフは約5年間、約7万9000台を販売して幕を閉じたオーパ。正直言ってヒットとは言い切れない実績だ。

 開発陣の意欲作だったオーパが売れなかった原因は、大小さまざまあるだろうが、その一つに「良い」になり切れなかったことが挙げられると思う。

 ワゴンのようなスタイリッシュさ、セダンのような走り、ミニバンのような快適性と、全部入りのオーパだったが、その機能や性能は「悪くない」のレベルでとどまり、「コレが良い」にはならなかった。

 各カテゴリーの良いところを集めたはずなのだが、その特徴自体が元のカテゴリーに属するクルマよりも秀でてはいなかったのだろう。

 実際に筆者もオーパに長らく乗る機会があったが、本当に悪くは無いのだ。ただ、特筆してイイという部分を挙げろと言われるのも困るクルマだった。

 各カテゴリーの良いところを集めたミックス系のクルマは、伸び悩むことが多い。オーパもその一つになってしまったようだ。ただ、現代のようにクロスオーバーや〇〇風といったクルマが多い時代なら、受け止められ方が違ったかもしれない。登場が20年ほど早すぎたのだろう。

 ともすれば、トヨタのオーパ開発陣には、20年先の未来のクルマをカタチにした、先見の明があったとも言える。オーパのチャレンジは無駄ではなかったし、このチャレンジには賛辞を贈りたいぞ。

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