「買えない」「売れない」「直せない」? 三重苦に打ち勝つクルマ生活とは?

以前のようには高く「売れない」?

「買えない」「売れない」「直せない」? 自動車不況の三重苦がやってくる!?
買い取り業者が在庫を確保しようとする7~8月は、下取り価格が上がる傾向に。そろそろ買い替えを考えているユーザーには夏が好機かも?

 新しい車両を買う場合は中古車市場も気になるところ。前の車両を高く売ることができれば、次の車両のグレードを上げることもできる。

 では、現在の中古車市場はどんな状況なのか?

 2024~25年の中古車市場は、新車の供給回復にともなって在庫が増加傾向にあり、一時の異常な高騰はピークアウトし、市場相場が下がりつつあるようだ。

 3〜5年落ちの車両は2023年と同水準まで価格が下落し、6〜10年落ちの車両ではさらに下落傾向にあるという報道もある。つまり、愛車を売るユーザーにとっては必ずしも良い状況とはいえない。

 中古車市場においては軽自動車やコンパクトカー、ハイブリッド車、SUVの需要が強く、燃費性能や維持コストなども下取りの評価基準となる。もし売ろうとしているモデルがこれらの条件から外れていれば、希望する買い取り価格より安くなる可能性が高い。

 また、中古のEV(電気自動車)はリセールバリュー(再販価値)が特に下がりやすく、一般的にはガソリン車よりも買い取り価格が下落する傾向にある。これはバッテリーの劣化や、なかなか増えない充電インフラの整備状況にもよる。

 以前は過熱傾向にあった中古車市場が落ち着きつつある今、中古車が以前よりは高く売れなくなったことで、新車購入意欲への影響を懸念する声もある。

 ユーザーとして少しでも高く売ろうとするなら、新生活に向けてクルマを買う機会が増える3月や9月に向けて、買い取り業者が在庫を確保しようとする1~2月または7~8月頃に持ち込めば、ある程度の高価買い取りが期待できるだろう。

 また、愛車の車検前や税金納付前も狙い目だ。

1台のクルマを長く乗り続けることも難しくなる⁉

 新車の車両価格が高く、中古車も高く売れないとすれば、今の愛車を少しでも長く乗ろうと思うが、その選択肢にもさまざまな障壁がある。

 2024年のインフレは、当然ながらオイル、タイヤ、バッテリーなどの消耗品の価格も押し上げている。

 気がつけば年間の車両メンテ費用が想定以上に高くなり、「車検代が20万円オーバー!」などという事態も起こりがちだ。

 維持費を少しでも軽減するには、ガソリンスタンドやカーショップのアプリや会員カードを駆使して、クーポンやキャンペーンも小まめにチェックしたい。

 また、1台の愛車を長く乗り続けるユーザーにとって最大の支障となるのが現行の自動車税(自動車税種別割)だ。

 この税制では、新車登録が「2019年9月30日」の以前か以後かによって税率が変わる。また、新車登録から13年以上が経過した車両の場合は、税率が一気に跳ね上がるしくみになっている。

 例えば、2019年9月30日より「後」に新車登録をした排気量1.5~2リッターの普通乗用車の場合には、新車登録から13年未満であれば税額は2万5000円。しかし、13年以上経過すると2万8700円に上昇する。

 一方、同じ1.5~2リッターの普通乗用車で2019年9月30日より「前」に新車登録をした場合には、新車登録から13年以上が経過すると3万9500円の自動車税が4万5400円に跳ね上がる。

 つまり、いずれにしても新車登録から13年を経過すれば自動車税が約15%も上がるのだ。

 軽自動車税(軽自動車税種別割)の場合はさらに上昇率が高く、通常は年1万800円の税金が、13年以上経過すると1万2900円となり、約20%の大幅上昇となる。

 車両価格や維持費が安いからこそ軽自動車を選択するユーザーにとっては、なんともアンフェアなしくみに感じられるだろう。

 こうした税制は、欧州に始まった排出ガス規制に乗じたものだといえるが、すでにその政策は形骸化している。

 モノを大切にして長く使うという、本来あるべき愛車精神を支える政策に、そろそろシフトしてほしいものだ。買えない、売れない、長く乗れないという自動車三重苦の時代は、残念ながらまだしばらく続きそうだ。

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