ダイハツ最後の独自セダン!! 隠れた実力派 アプローズの悲運と宿命【偉大な生産終了車】

■カローラなど強豪ひしめくなかでも健闘 しかしリコールが終焉の引き金に

 ダイハツ アプローズが1代限りで生産終了となってしまった理由。それはもちろん言うまでもなく直接的には、燃料系の設計に当初不具合があり、それに起因する火災事故が2件起きてしまったことでしょう。

 これに関しては、何ともフォローすることができません。

 しかし同時にこうも思います。「もしもあのとき、某大新聞がほとんどネガキャンと呼べそうな報道っぷりをしていなければ、ダイハツ アプローズのその後はどうなっていただろうか?」と。

エンジンは97psと120psを発揮する1.6L直列4気筒SOHCを搭載し、4WD車も用意。デビュー当時の1989年、GT-R(R32型)やユーノスロードスター、セルシオといった名車が生まれてきたなかでも好意的な評価を与えられていた

 軽自動車の世界では昔から「日本を代表するメーカーのひとつ」だったダイハツですが、小型乗用車の世界では「日本を代表する」どころか「超マイナー」と言えるブランドです。

 それゆえ、もしも新聞社の報道がなかったとしても、ダイハツ アプローズはさほどの売れ筋セダンにはならなかったでしょう。

 しかしアプローズは「普通によく走って、そして普通以上にユーテリティ性が高い」という、あるようで実はなかった、けっこう魅力的で独特なコンパクトセダンでした。

 それゆえ、もしも時間をかけてじっくりとプロモーションを続けていたならば……。

アプローズと同じく独自セダンであったシャレードソシアルとともに2000年に生産終了。これによりダイハツ独自開発によるセダンの系譜は終止符が打たれることになる

 まあそれでも、その後のRVブームとセダン人気の凋落によって、アプローズは消滅していた可能性のほうが高いでしょう。しかし「隠れ実力派セダン」として、もう少しマシな「生涯」を送れたような気はするのです。

 火災事故を起こしてしまった初期のダイハツ アプローズを、必要以上にかばいたいわけではありません。またA新聞社に対して必要以上に文句を言いたいわけでもありません。

 でも、「とにかく残念だ……」とは思うのです。

■ダイハツ アプローズ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4260mm×1660mm×1375mm
・ホイールベース:2470mm
・車重:970kg
・エンジン:直列4気筒SOHC、1589cc 
・最高出力:120ps/6300rpm
・最大トルク:14.3kg-m/4800rpm
・燃費:14.2km/L(10モード)
・価格:131万5000円(89年式16Ri 5MT)

【画像ギャラリー】ダイハツ入魂の意欲作!! アプローズの画像をギャラリーでチェック!!!

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