BYDから日本上陸第4弾のBEVが登場するなど、電気自動車に関しては中国系企業にペースを奪われた形だが、またひとつ……中国のCATLが電気自動車向けナトリウムイオン電池を量産出荷すると発表。いったいどんな電池なのか!?
※本稿は2025年5月のものです
文:国沢光宏/写真:JESIMAIK、BYD
初出:『ベストカー』2025年6月26日号
電気自動車向けナトリウムイオン電池が登場!
CATL(中国)は電気自動車向けナトリウムイオン電池を2025年6月にも量産出荷すると発表した。
これまで電気自動車用の電池といえば、日本が実用化した3元系リチウム電池と、中国で発展し、今や主力になりつつあるLFP電池(リン酸鉄リチウム)、そしていまだ実用化されていない全固体電池の3タイプ。そこにナトリウム電池も加わってきたということになる。
それどんな電池?
まず原材料が素晴らしい。海水からいくらでも取れるナトリウムを使う。リチウムやコバルト、マンガンみたいな「中国など限られた国でしか採れない」というヤヤこしさはなし。
ナトリウム電池の構造は基本的にリチウム電池と同じ。正極と負極の間をナトリウムイオンが行ったり来たりするわけだけど、性能面ではまだまだ課題あり。なんせエネルギー密度が低い。
簡単に言えば「容量が少ない」。リチウム電池に比べると、同じサイズだと走れる距離が短くなってしまう。
新しモノ好きの私ということで、すでにナトリウム電池を持っています。バッテリー上がりに使う携帯ジャンプスターター(JESIMAIKというメーカー)の電池が業界初のナトリウムなのだった。確かに3元系より大きくて重いものの、耐久性と安全性が圧倒的だったりする!
特長を並べると、(1)電池寿命は三元系の5倍と言われるLFPの倍。(2)マイナス40度~+80度に対応するため急速充電に強い。(3)釘を刺しても燃えない、というもの。
エネルギー密度の問題さえ改善できれば電気自動車用電池として理想的ともいえる。CATLは電気自動車用のナトリウム電池を出荷するということなので、実用的なエネルギー密度を持たせる技術を確立したんだろう。
当初は1日の走行距離が100km+α程度のシティコミューター的な使い方をするクルマから導入されていくようだ。驚くことに、価格も同じ車種のLFP電池仕様より安価な設定になると聞く。
もちろん課題だって出てくるに違いない。日本だと販売する前の検証も必要になってくる。中国は「とりあえずやっちゃえ!」。出してから改良していくというアプローチを取る。
日本勢といえば、LFPの時と同じように様子見。関係者に話を聞くと口を揃えて「エネルギー密度が低い」と言う。
そうこうしているうち、中国はナトリウム電池の技術も確立していくかもしれません。私の超高性能ジャンプスターター(安全性が高いため5Lのディーゼルエンジンすら対応できる大容量)を見ていると、日本は出遅れるかもしれません。

















コメント
コメントの使い方こういう部分は強い。けれど「中国の部分的な強さ」を褒めても、日本が弱いとは全然思いません
日本がこういうのを即刻採用しないのは、ユーザーへの思いやりの為です。再処理など環境影響も考えてます
中国の一部を羨ましく思えても、隣の芝。中国民から見れば、人や環境を優先できる企業の多い日本は、嫉妬の対象です
日本人は、全てでトップクラスを求めるバブル神経を親世代から刷り込まれちゃってます。もう脱却しましょう