いけんよ! 茨城ダッシュ 名古屋走り 車間詰めてもよかろうもん!! 地方特有のご当地ルールとマナー9選

いけんよ! 茨城ダッシュ 名古屋走り 車間詰めてもよかろうもん!! 地方特有のご当地ルールとマナー9選

 「地方に来たら運転が恐い」と感じたことはありませんか? 全国各地には、ご当地走り”が存在します。茨城ダッシュから佐賀のよかろうもん運転まで、あなたの知らない土地でご当地ルールを徹底解説します。

文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:Adobe stock@yuphoto、交差点の角に斜めに駐車することをしゃちほこ停めというらしい)

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ご当地ルール&マナー1:茨城ダッシュ(茨城県)

茨城県警のチラシ(出典:茨城県警)
茨城県警のチラシ(出典:茨城県警)

 まず念押ししておきたいのは、これら「ローカルルール/ご当地走り」は法的根拠を持たない慣習・風土的運転行動であり、道路交通法上は違反になる可能性の高い行為が多く含まれます。本稿では、各“ルール”の特徴、なぜ生まれたか、どこが法律違反になりうるか、そして地元ドライバー目線でどうすべきかを紹介していきます。まずは茨城ダッシュです。

■内容・特徴
信号が赤で停車中、青に変わった瞬間に対向直進車より先に右折する“ダッシュ右折”が典型例。茨城県警も「茨城ダッシュは違反です」と公式に呼びかけたことがあるほど認知度が高いローカルルールです。

法律上の問題点
・交差点優先車妨害違反:対向の直進車があるのに右折を強行した場合に適用。
・交差点右左折方法違反:交差点の中心部近傍を徐行せずに通過する行為も違反となることがあります。
・場合によって信号無視にも該当しうるケースも。

背景・実情
茨城県では、右折時事故発生率が高いことから警察が問題視し、取り締まりを強化。2020年には、交差点での四輪と歩行者事故のうち約8割が右折時だったという統計も紹介されています。

■対処・注意点(読者へのアドバイス)
慣れない土地では、青信号になってすぐ右折してくる後続車に警戒を。信号変化直後の挙動には特に注意を払って、無理に先を行こうとしないことが安全確保の第一歩です。

ご当地ルール&マナー2:鶴ヶ島ルール(埼玉県)

交差点を右折する際、素早く右折する”右折ダッシュ”をするところは多い(写真AC)
交差点を右折する際、素早く右折する”右折ダッシュ”をするところは多い(写真AC)


■内容・特徴
埼玉県・鶴ヶ島市発祥とされるマナーで、「交差点を要領よく右折する」「すばやく右折する」ことを良しとする傾向があります。地元では“交差点右折ダッシュ”的な運転が “鶴ヶ島ルール”として語られることがあります。

■法律上の問題点
内容そのものが法律上で定義されているわけではありません。ただし、“アイデア的右折優先”や“交差点を急旋回する”ような操作が、前述の交差点優先妨害違反・右左折方法違反・信号無視などに抵触することがあります。

■背景・実情
緩やかな国道・地方道が交差する地域で、右折待ちのクルマが渋滞を引き起こす状況を回避したいという地元ドライバーの考え方が、早めの右折を奨励する空気を生んだ可能性があります。ただし、「鶴ヶ島だから必ず右折ダッシュが許される」というものではありません。

■対処・注意点
鶴ヶ島近辺を運転する際は、交差点付近で右折を狙ってくるクルマに気をつけて早めの判断を。こちら側が直進優先であることを念頭に、先を急がず安全確認を最優先に。

ご当地ルール&マナー3:山梨ルール(山梨県)

山梨ルールは甲府盆地という地形から来るのか(Adobe Stcok@Raicho)
山梨ルールは甲府盆地という地形から来るのか(Adobe Stcok@Raicho)


■内容・特徴
「右折優先・積極右折」を是とする運転マナー。対向車が近づいていても右折する、“減速なし右折”や“フライング右折”などが見られます。また「サンキュークラクション(譲った際のクラクション)」なる慣習も部分的に語られています。

■法律上の問題点
道路交通法では、直進車優先が原則。右折すべきタイミングは慎重に見定めなければなりません。交差点優先妨害違反・右左折方法違反・信号無視等に該当する可能性があります。

■背景・実情
山梨県は山岳地帯・盆地環境で分断された道路構造になりやすく、幹線道路に対する右折車が渋滞を引き起こしやすいという事情があります。そこから、「右折車を早く通した方がいい」というローカルな発想が根づいたと考えられます。

■対処・注意点
見通しが悪い交差点では、右折を急ぐ車が前に出てくる可能性を念頭に、対向車との距離・速度をよく計算して行動を選びましょう。

ご当地ルール&マナー4:松本走り(長野県松本市)

松本市は城下町のため道が狭いところが多い(写真:写真AC)
松本市は城下町のため道が狭いところが多い(写真:写真AC)


■内容・特徴
長野県松本市で見られるとされるローカルマナー。「右折車を優先する」「対向車がいるのに右折」「左折車に便乗して右折」「信号変化後すぐ右折」など、やや強引な右折系の動きが含まれます。

■法律上の問題点
これらの行為は交差点優先妨害違反・右左折方法違反・信号無視などに該当し得ます。

■背景・実情
松本市は城下町で細い路地や旧市街が残るため、右折待ち車列が慢性的に発生することがあります。これを回避するため、地元ドライバー間で“右折を強行する文化”が生まれてきた可能性があります。

■対処・注意点
松本付近での運転では、対向車線を見極めつつ強引な右折をかけてくるクルマに備えておく。こちらが直進中であれば優先権を主張しつつ、衝突リスクを回避する慎重な運転を心がけたいものです。

ご当地ルール&マナー5:名古屋走り(愛知県)

名古屋は車線が多く道幅も大きく走りやすいはずなのに……(Adobe Stock@paylessimages
名古屋は車線が多く道幅も大きく走りやすいはずなのに……(Adobe Stock@paylessimages


■内容・特徴
有名なローカル走りの一つ。信号無視、黄色信号進入、ウインカー未使用での車線変更、無理割り込み、早曲がり(交差点を急に右折)、右折中の追い越し、車間を極端に詰める運転などが含まれます。

■法律上の問題点
・合図不履行違反(ウインカーを出さない進路変更)
・割り込み違反(無理な車線変更)
・信号無視(赤信号を無視)

■背景・実情
名古屋周辺は道路が広く車線が多い区間が多いため、速度を維持したいというドライバー心理と“止まりたくない”という気持ちが合わさり、“信号は止まるな”というローカル文化が醸成されたのでは、という見方があります。

■対処・注意点
名古屋方面を運転する際は、車線を横切る無予告変更や信号無視をするクルマに注意を。ウインカーなし車が急に割り込んでくる可能性を想定して早めの動きと余裕を保つのが安全な戦法です。

ご当地ルール&マナー6:播磨道交法(兵庫県姫路市ほか)

姫路城周辺の城下町という道路環境が播磨地方の交通マナーの悪さを生んだのか?(ogurisu@Adobe Stock)
姫路城周辺の城下町という道路環境が播磨地方の交通マナーの悪さを生んだのか?(ogurisu@Adobe Stock)


■内容・特徴
兵庫県播磨(姫路など)地域で語られる“擬似法令”的なローカルルール。神戸新聞の連載から生まれた「播磨道交法」は、地域運転マナーを皮肉を込めて“法律”風に記した慣習集です。

■主な“ルール”例
1:交差点では先入車優先。右折車が対向直進車より先に行ってもよい
2:右折時、対向車が左折なら同時進行
3:歩行者・自転車は赤信号でもクルマが途切れれば進め
4:右折信号が消えた後にも、まだ右折車を潜り込ませる
5:車線変更は空きがあれば割り込み自由、ウインカーは直前操作で可 など

■法律上の問題点
これらはほぼ全てが道路交通法および道路交通の基本ルール(歩行者優先、信号遵守など)に反する行為です。播磨道交法という実定法は存在しませんが、地域の悪しき運転文化を揶揄/象徴する言葉として使われています。

■背景・実情
姫路市は城下町として発展してきた歴史をもち、道路が複雑・狭隘なことが多く、右折待ちで渋滞を生む場面が多くあります。こうした背景から、“右折を優先すべし”という地元ローカル思考が強まったという指摘があります。

■対処・注意点
当然ながら播磨道交法を文字通り鵜呑みにしてはいけません。姫路・播磨地域を走る際は、「ここが常識なのか?」を疑いつつ、信号・歩行者・優先関係を法に則って守る慎重運転を心がけましょう。

ご当地ルール&マナー7:岡山ルール(岡山県)

岡山の市街地を走る路面電車(y.tanaka@Adobe Stock)
岡山の市街地を走る路面電車(y.tanaka@Adobe Stock)


■内容・特徴
方向指示器(ウインカー)を出さない、あるいは直前にしか出さない右左折・車線変更が常態化。運転マナーが悪いとの県民意識も強く、JAF調査でも「ウインカーを出さないクルマが多い」との回答が多かった地域とされています。また、横断歩道前で停止しない(歩行者妨害)車両も目立つという調査も

■法律上の問題点
・合図義務違反(ウインカー未使用)
・歩行者妨害(横断歩道で停止しない)
・細かいタイミングで無理な車線変更や割り込みも交通違反に該当

■背景・実情
岡山では「ウインカーを出すのは初心者」「合図はみっともない行為」などの価値観・風潮も指摘されており、運転マナー意識の面で文化的要因が関わっている可能性があります。なお、岡山県警はウインカー適正利用の啓発活動を強化しており、交差点手前路面標示や“横断歩道マン/レディ”といったキャラクター制作も行っています。

■対処・注意点
岡山県をドライブする際は、周囲の車の合図の出し方をよく観察し、無合図の割り込みや曲がりに備えて距離を置くよう意識を。歩行者優先は常に遵守すべき鉄則です。

岡山南警察署ではドライバーにウインカーを適正に出すことを促す目的で啓発キャラクターである横断歩道マンや横断歩道レディを制作(出典:岡山県南警察署)
岡山南警察署ではドライバーにウインカーを適正に出すことを促す目的で啓発キャラクターである横断歩道マンや横断歩道レディを制作(出典:岡山県南警察署)

ご当地ルール&マナー8:伊予の早曲がり(愛媛県)

愛媛県伊予鉄道の路面電車(EricAkasi@Adobe Stock)
愛媛県伊予鉄道の路面電車(EricAkasi@Adobe Stock)


■内容・特徴
愛媛県(主に伊予地方)で見られる右折のローカルルール。青信号になった瞬間、対向の直進車より先に右折をかけようとする行為を指します。また、直進車が近づいていても早めに右折してしまう“先行右折”も含まれます。

■法律上の問題点
これは交差点優先妨害違反・交差点右左折方法違反・信号無視などに抵触する可能性があります。

■背景・実情
愛媛県警も「伊予の早曲がり運転は危険な交通違反です!」との啓発パンフを作成しており、地域事故防止の観点から問題視されています。
また、伊予地方の交差点構造や道路網(無信号交差点の割合が高い)も、早曲がり発生の温床になっている可能性があります。

■対処・注意点
伊予地方へ行く際は、青信号になった直後に右折をかけてくる車に警戒を。こちらが直進優先の立場であることを理解して、先を急がず安全確認を最優先に運転しましょう。

愛媛県警の「伊予の早曲がり運転」根絶のためのチラシ(出典:愛媛県警)
愛媛県警の「伊予の早曲がり運転」根絶のためのチラシ(出典:愛媛県警)

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