夏の猛暑から一転、急に寒くなった今年の冬。慌ててスタッドレスタイヤへの交換を準備している人は多いのではないでしょうか。
タイヤ交換のタイミングで気になるのが、タイヤの状態。「溝が残っているからまだ大丈夫」「ほとんど走っていないから今年も使える」と思っている人は要注意。タイヤの寿命は溝だけで判断できるものではありません。特にスタッドレスタイヤは要注意です。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_naka/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】スタッドレスタイヤ寿命診断「走ってなくても5年たったら点検」って知ってた?(8枚)画像ギャラリー溝だけじゃない!「ゴムの柔らかさ」が寿命を決める
「タイヤの寿命」ときくと、まず思い浮かぶのは「溝の深さ」なのではないでしょうか。もちろん溝の深さも重要なのですが、同じくらい大切なのが「ゴムの柔らかさ」です。
タイヤはゴム製品であるため、時間の経過によって次第に柔軟性が失われて硬化、グリップ性能が低下していきます。特にスタッドレスタイヤは、圧雪路や凍結路で「走る・曲がる・止まる」といった性能を発揮できるよう低温でも柔らかさを保つゴムを使用しているため、経年劣化によってゴムが硬くなってしまうとその性能を発揮できず、滑りやすくなってしまうのです。
そのため、あまり使用していなかったとしても、購入から年月が経っていれば寿命を迎えている可能性があります。安全に使用できる目安はおよそ5年。タイヤメーカーのブリヂストンも、使用開始から5年が経過したタイヤは専門店で点検を推奨し、製造から10年を超えた場合は交換を検討するよう呼びかけています。
タイヤの製造年月は、タイヤ側面に刻印されている4桁の数字で確認できます。たとえば、「2324」という刻印なら、2024年23週製造。後ろ2桁が製造年、最初2桁が製造週を表しています。
ただ、同じ製造年でも保管状況や走行環境などによって、劣化の進み方は大きく変わるため、場合によっては想定より早く性能が落ちていることも。不安に感じたら、タイヤ専門店などでゴムの硬さを測定する「硬度計」での測定をお願いすると、適切な交換タイミングを見極めることができます。
保管は直射日光の当たらない風通しのいい室内が理想
タイヤをできるだけ長くよい状態で維持するために、まず心がけてほしいのが適切な環境での保管です。保管の基本は、直射日光が当たらない風通しの良い日陰や室内。屋内での保管が難しい場合は、タイヤカバーを使うことで紫外線による劣化を抑えることができます。保管する際は、泥や融雪剤をしっかり洗い落とし、水分を完全に除去してから収納します。特に融雪剤(塩化カルシウムなど)はゴムにダメージを及ぼすため、洗い流さないままの放置は禁物です。
また、夏場の使用は避けることも重要。炎天下の高温の路面では、スタッドレスタイヤの柔らかいゴムは一気に消耗し、寿命が大幅に縮まってしまいます。もちろん、ノーマルタイヤ同様に適正空気圧を維持することや定期的にタイヤローテーションをすることも、寿命を延ばすために効果的です。











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