今ではさまざまなクロスオーバーモデルが登場しているため、一風変わったモデルがリリースされてもさして驚かなくなりつつあるが、1994年に三菱のミドルモデルであるギャランに突如追加された「ギャランスポーツ」はかなり異質な存在だったのだ。
文:小鮒康一/画像:三菱、ベストカーWeb編集部
セダンベースのハッチバックにRV要素を追加したギャランスポーツ
ギャランと言えばそれまではラリーにも参戦する硬派なセダンというイメージが強かったが、その座を1992年10月に登場したランサーエボリューションに譲ることに。そのため同年5月に登場した7代目モデルでは上級移行がなされた。
そして、メインのグレードはV6エンジンが搭載されデザインも丸みを帯び、ボディサイズも3ナンバーサイズになったのだ。
そんな7代目ギャランに1994年9月に突如追加されたギャランスポーツは、当時流行していたRVブームの波に乗ったモデルで、大型リアウイングやルーフレールが備わるほか、上級グレードにはフロントにカンガルーバーテイストのバンパーガードも備わっていた。
さらにボディタイプは、通常のギャランのラインナップには存在しない5ドアハッチバックとなっていたのだが、これはハッチバックタイプの人気が高い欧州向けに存在していたものを導入したもので、「GTの走りとRVの遊び心を併せ持つモデル」というキャッチコピーが与えられていた。
名車レグナムへつながる先触れだった!?
パワートレーンは通常のギャランにも搭載されたV6 2Lの6A12型で、エントリーグレードは、SOHCのNAエンジンに4速ATを組み合わせたFFモデルが用意された。一方、上級グレードのGTは、VR-4に搭載されたのと同じインタークーラーターボエンジンに5速MTもしくは4速ATの組み合わせで、フルタイム4WDが搭載され、GTの名に恥じない動力性能を備えていたのである。
そんなギャランスポーツは、RVブームに乗ったモデルというキャラクターのほか、当時高い人気を誇っていたレガシィツーリングワゴンの対抗馬という役割も担っていた。
しかし、ステーションワゴンと5ドアハッチバックでは使い勝手の面で明らかにワゴンの方に分があり、ルックス面でもレガシィの方がスタイリッシュだったこともあって販売面では太刀打ちできない状態となる。
結局、三菱は1996年にギャランが8代目にフルモデルチェンジをするタイミングでステーションワゴン版となるレグナムを発表し、見事ギャランと共に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞して雪辱を果たしたのである。
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