名前を聞いただけで、それがどんなクルマなのかすぐにわかる、伝統的ビッグネームと呼べる車種がある。それにふさわしい実績と長い時間が必要で、例え人気モデルでも一代限りでそうなるのは難しい。名前だけである程度以上の話題となる反面、その名前に苦しめられる可能性もある。今回はそんな偉大な名前を持つモデルの話をいくつか紹介する。
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:トヨタ、ホンダ、日産自動車
この名前じゃなかったら成功はなかった!? 復活したプレリュード
発表以降、多くの注目を集め、その後、大量の受注が発生したことも話題を呼んだ新型プレリュード。クルマそのものよりも、ビッグネームの復活という点が話をより大きなものにしたような印象だ。
でも、この新型プレリュード、開発の初期段階ではプレリュードとしては企画されたものではなかったという。しかし、結果を見ればビッグネームを引っ張り出してきた意味は大いにあったと言えるだろう。
もし、これがプレリュードではなく、例えばアルファベットの3文字名前みたいなモデル名を持つ新しいHVスポーツとしてのデビューだったなら、恐らくここまでの注目も受注もなかったかもしれない。
もちろん、長い間欠番だった名前の復活というトピックス性の高い話題も後押しとなったはずだが、それでもやはり、名前の強さ、とりわけかつての黄金時代を知る世代には強烈に“刺さる”ものだったことは間違いないだろう。
もしかして名前に苦しめられている!? 苦悩するスカイライン
プレリュードと同様に、伝統の名前と言えるのがスカイライン。こちらもまた日本車屈指のビッグネームである。
搭載エンジンが直6からV6へと変更になったことなどから「こんなのスカイラインじゃない!!」という声が当時よく聞かれたが、その後、スカイラインとしての歴史をつなぎ、今日に至っている。
現行V37もすでに11年を経過した長寿モデル。日産は「スカイラインを諦めない」としているものの、ずるずると延命させられている、みたいな印象だ。もちろん、そう遠くない内にモデルチェンジはされるのだろうが、セダン人気が低調な今、スカイラインも変化が求められているのかもしれない。
その名前を捨ててしまうのはもったいなく感じるが、サニーやセドリック/グロリア等々、かつてのビッグネームを惜しげもなく過去のものとしてきた日産だけに、スカイラインももしかすると……!?
名前という資産を活かしつつ新たな魅力の創造が巧いトヨタ
名前を聞いただけでどんなクルマが容易に連想できる伝統的なモデルにクラウンがある。しかし、セダン不人気な昨今、クラウンとて安泰ではなく、代を重ねるごとに販売台数が減り、さらには“年配の方が乗るクルマ”みたいなイメージもできつつあったという。
そんなイメージの払拭には、クラウンの名を捨て、別のクルマとして再出発するという手もあったかもしれないが、トヨタが選んだのは“別のクルマ”になること。今日の成功はご存じのとおりだ。
トヨタは過去の名声をベースにしたリブランディングが巧い。思い返せばプリウスも現行モデルで大きな“キャラ変”を受けた。HVを周知、普及させるという使命をほぼ終えた今、その代名詞的存在だったプリウスも違った役割が求められているのだろう。
次期モデルはさらに尖ったモデルになるかも? 今のトヨタならやってくれるかもしれない!? みたいな期待感もあり、まだ見ぬどころか、噂すら聞かない次期型につい期待してしまいそうになる。もっとも、そこに偉大な名前の影響はあまりなさそうだけど……。
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