2026年は東京でも年明け早々に雪が降ったことで、各地で車両のスタックによる通行止めのニュースがあふれました。皆さんも、冬のドライブで雪道にはまってしまった経験はありませんか? アクセルを踏んでもタイヤが空転するだけで、クルマが前に進まない。焦れば焦るほど、状況は悪化していく……。実は、クルマに搭載されている安全装備が、思わぬ形で脱出を妨げているかもしれません。
文:佐々木 亘/写真:Adobestock(トップ画像:helivideo@Adobestock)
現代のクルマは「賢すぎる」?

ここ10年ほどで販売されたクルマには、運転を安全にサポートするさまざまな電子制御システムが標準装備されています。
アンチロックブレーキシステム(ABS)、タイヤの空転を防ぐトラクションコントロール、横滑り防止装置など、名前を聞いたことがある機能も多いでしょう。さらに、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も加わり、これらは統合的に制御されています。
通常の走行環境では、これらの電子制御を全て作動させた状態で運転することが推奨されていますが、雪や泥などでスタックした時は話がまったく別なのです。
なぜ最近のクルマは雪道で動けなくなるのか?
トラクションコントロールは、アクセルを踏んでタイヤが空転すると、その空転を抑えるためにエンジン出力を自動的に抑える仕組みです。
乾燥した路面や雨で濡れた路面では、知らず知らずのうちにこの機能に助けられています。タイヤが無駄に空転することなく、効率的に路面をとらえて走ることができるのです。
しかし、深い雪やぬかるみでは、この賢いシステムが裏目に出ることがあります。
スタックから抜け出すには、タイヤをある程度勢いよく回転させて、前進する必要があり、タイヤを激しく空転させることで、雪の中に埋もれた車体を揺さぶり、脱出の糸口が見つかることもあるのです。
ところが、トラクションコントロールが作動していると、タイヤが少し空転しただけでシステムが反応し、エンジンパワーが制限されてしまいます。アクセルを思い切り踏み込んでも、必要な推進力が得られず、クルマは雪の中で立ち往生したままになるのです。
脱出の鍵は「TRC OFFスイッチ」
そこで活躍するのが、普段はほとんど使わない「トラクションコントロールOFFスイッチ」です。このスイッチの存在を知らないドライバーも少なくありません。
車内のシフトレバー周辺やダッシュボード付近、インパネのどこかを探すと、「TRC OFF」と書かれたボタンや、クルマのマークに波線が2本ほど描かれたボタンが見つかるはず。メーカーや車種によってデザインは異なりますが、機能は同じです。
●基本の使い方:一度押し
軽いスタック状態なら、このスイッチを一度押すだけで充分です。スイッチを押すと、メーターパネルに「TRC OFF」やクルマのマークの警告灯が表示されます。この表示を確認したら、ゆっくりとアクセルを踏んでみてください。
トラクションコントロールが解除されることで、タイヤが適度に空転し、ぬかるみから脱出できるようになります。
●最終手段:長押し
一度押しでも脱出できない、より深刻なスタック状態の場合は、さらに強力な手段があります。ブレーキペダルを踏んだ状態で、トラクションコントロールOFFスイッチを数秒間長押ししてください。
すると、メーター内に黄色いクルマのマークの警告灯が点灯するはずです。この操作により、一度押しよりもさらに多くの電子制御が解除され、より自由度の高い運転が可能になります。これで脱出できる可能性が大きく広がるのです。
脱出に成功したら、必ずトラクションコントロールをONにすることをお忘れなく。これらの安全装備は、通常の運転では必要不可欠なシステムです。TRC OFFのまま走行を続けると、思わぬ事故につながる可能性もあります。
冬のレジャーを安全に楽しむために、クルマの機能を正しく理解し、使いこなすことが大切です。知識があれば、雪道での不安が少し軽くなるかもしれません。
【画像ギャラリー】賢くなりすぎたクルマだから付き合い方を知るべし!! トラコンOFFスイッチの正しい使い方(4枚)画像ギャラリー







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