テンパータイヤは装着位置で挙動が変わる!? 実走テストでわかったパンク時に役立つ安全な使い方

テンパータイヤは装着位置で挙動が変わる!? 実走テストでわかったパンク時に役立つ安全な使い方

 クルマに乗っていれば、誰にでも突然起こり得るのがパンクトラブル。そんな「まさか!」の非常時に頼りになる存在が、スペアとして積まれているテンパータイヤです。ただし、このテンパータイヤ、使い方を間違えると安全性を大きく損なうことも……。そこで今回はベストカーWeb編集部が、テンパータイヤの基礎知識から正しい使い方、さらには「え、そんな落とし穴があったの!?」と驚く実際のテストでわかったリアルな注意点まで、できるだけ噛み砕いて解説します。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobestock

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そもそもテンパータイヤとは何者?

近年は燃費のためにテンパータイヤではなく、パンク修理キットが搭載されているクルマが多いが、パンク修理剤を使うとタイヤの再利用ができないデメリットがある
近年は燃費のためにテンパータイヤではなく、パンク修理キットが搭載されているクルマが多いが、パンク修理剤を使うとタイヤの再利用ができないデメリットがある

 テンパータイヤとは、パンクなどの緊急時に一時的に使うための応急用タイヤのこと。正式名称はテンポラリータイヤ(直訳だと一時的な、仮のタイヤ)と言います。

 ひと昔前までは多くの国産車に標準装備されていましたが、近年は車重軽減や燃費向上の流れもあり、パンク修理キットに置き換えられるケースも増えてきました。それでも、テンパータイヤを備えているクルマは、今でも決して少なくありません。

 最大の特徴は、通常のタイヤよりも細くて軽いという点。そのぶんトランク容量を圧迫しにくく、取り回しもしやすい設計になっています。

 ただし当然ながら、グリップ力や剛性は大きく抑えられているのが現実です。あくまで「修理工場までたどり着くための非常用」であり、一般的に最高速度は80km/hとされています。長距離走行や高速走行は想定されていない、という点はしっかり頭に入れておきましょう。

パンクしたらどうする? 正しい装着と走り方

タイヤ交換をする際は、安全な場所に退避してから交換することが重要。高速道路では、SA・PAや退避スペースまで行うこと。幅の狭い路肩での交換は、後続車にはねられる危険があるので厳禁だ
タイヤ交換をする際は、安全な場所に退避してから交換することが重要。高速道路では、SA・PAや退避スペースまで行うこと。幅の狭い路肩での交換は、後続車にはねられる危険があるので厳禁だ

 実際にパンクしたら、まず最優先すべきは安全な場所に停車すること。ハザードランプを点灯させ、輪止めを使い、ジャッキアップポイントを確認する。教習所で習った基本動作ですが、いざという時ほど意外と忘れがちです。

 ジャッキアップが終わっても、油断は禁物です。実はテンパータイヤには、「できるだけ駆動輪には装着しないほうがいい」という重要なポイントがあります。

 前輪駆動車なら前輪、後輪駆動車なら後輪、四輪駆動車なら特定の軸が駆動を担っています。その駆動輪にテンパータイヤを履かせてしまうと、駆動力をうまく伝えきれず、発進時や加速時に不安定な挙動が出やすくなるのです。

 そして装着後は、とにかく「いつも通りに走らない」ことが大切。ハンドル操作、加速、減速のすべてを普段以上に穏やかに。急ブレーキや急なレーンチェンジは絶対に避けましょう。

 特に雨天時は路面との摩擦がさらに低下するため、慎重すぎるくらいがちょうどいいと言えます。

※四輪駆動車のテンパータイヤ装着位置については、トラブルの原因になりますので、取扱説明書を確認してください。自車のことを知る機会ですので、ぜひチェックしてみてください

実際にベストカー編集部がテストしてみた!

テンパータイヤはT135/80という細いサイズ。純正装着のタイヤと比べても、とても細いことがわかる
テンパータイヤはT135/80という細いサイズ。純正装着のタイヤと比べても、とても細いことがわかる

 ここからは、ベストカー編集部がかつて実施したリアルな検証テストをご紹介します。

 テンパータイヤを2本用意し、BRZの前輪と後輪それぞれに装着して、ハンドリングの変化を確認するという、正直かなり無謀な企画でした。

 テンパータイヤはガンガン走るためのものではありませんし、T135/80という細いサイズで高いグリップを期待するほうが間違い。それでも「百聞は一見にしかず」ということで、あえて試してみました。

 まず駆動輪である後輪に装着した場合。

 結果は、多くの人が想像するとおりでした。ステアリングを切った瞬間にリアが大きく滑り出し、簡単にドリフト状態に突入。少し走っただけでもトレッド面はみるみる摩耗し、平均的なドライバーにとっては「かなり危険」と言っていいレベルです。

 特に問題だと感じたのは、グリップの低さ以上にタイヤ剛性の低さ。直進状態から舵を入れても反応が遅れ、ワンテンポ遅れて予想以上に大きく流れ出します。

 この挙動は非常に扱いづらく、たとえば100km/hからやや厳しめのレーンチェンジをした場合、普通のドライバーならスピンに至る可能性が高いと感じました。最高速度は80km/hとされているとはいえ、後輪装着ではそれでもリスクが高いのです。

前輪に装着するとビックリ! 後輪に装着していたタイヤとは思えないくらい、意外なほど安定していた。もちろん「急」の付く操作は厳禁ではあるのだが
前輪に装着するとビックリ! 後輪に装着していたタイヤとは思えないくらい、意外なほど安定していた。もちろん「急」の付く操作は厳禁ではあるのだが

 一方、前輪に装着すると印象は一変。頼りない見た目とは裏腹に、意外なほど安定しており、大きな不安は感じませんでした。

 もちろんグリップの絶対値は低く、基本的には強いアンダーステア傾向。スピードを上げすぎればコースアウトの危険性はあります。

 ただし操舵フィールやヨーレスポンスは非常にマイルドで、BRZのようなスポーツモデルが、まるでファミリーセダンのような穏やかな操縦性になるのです。

 この結果から、編集部が導き出した結論は明確。後輪がパンクした場合でも、可能であればローテーションを行い、テンパータイヤは前輪に装着する。これが、最も安全性の高い対処法だと言えるでしょう。

次ページは : 知っているだけで安全度が変わる、テンパータイヤの心得

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