各自動車メーカーがBEVのラインナップを増やす中、イベントやキャンペーンも従来とは様変わりをしているようだ。BEVでは物足りなさを感じる「ガソリンの匂い」をプレゼントするという…。
文:古賀貴司(自動車王国) 写真:Kia
【画像ギャラリー】あ、これ欲しいかも!! 見た目超可愛いのにガソリンの匂いってギャップもいいなマジで(3枚)画像ギャラリーガソリン車の匂いがするエアフレッシュナー
日本に間もなく再上陸する韓国の自動車メーカー、Kia(起亜)がフィンランドで電気自動車であるEV4(日本未導入)のユニークな販売キャンペーンを展開していた。
EV4とはコンパクトセダンとハッチバックの2つのボディスタイルで展開される、同社のEVラインナップを強化する重要なモデルだ。
そのEV4の購入者に向けて、ガソリン携行缶が描かれた“エアフレッシュナー”が配られることになったのだ。
「電動化の真っ只中で、ガソリンとガソリンスタンドの香りが恋しくないですか? 禁断症状への素早い助けがあります」というナレーションとともに、インスタグラムの動画でバックミラーに吊るされたエアフレッシュナーが映っています。
このエアフレッシュナーは、フィンランドにおけるKiaのインポーターAstara Auto Finlandが手掛けたもの。
フィンランド唯一の調香師マックス・ペルトゥラとコラボして開発した本格派なのだとか。ペルトゥラは通常、高級ブランドの香水を手がける専門家だが、今回は笑いの“ネタ”に付き合った。
狙ったのは「自動車修理工場を思い起こさせる香り」
ペルトゥラはベンジンの香り、金属的な香り、ミネラル的な香りなど、男性用香水に用いられる近似臭がする原料を厳選。
意外な要素として、ジャスミン臭が加えられている。実はジャスミンの花には、ガソリンと同じ揮発性炭化水素が含まれているそうだ。
ペルトゥラが「自動車修理工場を思い起こさせる香り」と表現する通り、整備工場の空気感を再現しているという。正直なところ、車内に置きたい香りとは言い難い。
だがそこがこのキャンペーンの絶妙なポイントだろう。本当に使うかどうかではなく“あの匂いがなくなるんだな”という気づきを与え、話題を生み出すことに成功している。
Kiaの当該キャンペーンは、より大きなマーケティング戦略の一環でもある。
別のソーシャルメディアへの投稿では、屋外で立ち話をする2人の姿を「煙のサインは過去のもの」というコピーとともに紹介している。
タバコ休憩のような日常を引き合いに出し、EVの排ガスゼロという特性をウィットに富んだ形で訴求する手法だ。
フィンランドは一般的にユーモアで知られる国ではないが、Kiaはあえてこの市場で遊び心満載のアプローチを選択した。
北欧の冷静で実用的な気質と、このキャンペーンのナンセンスさのコントラストが、かえって新鮮な印象を与えている。
かつてフォードも似たキャンペーンを展開
SNS時代において、話題性は広告費以上の価値を持つ。このガソリンの香りエアフレッシュナーは、確実にSNSで拡散される”シェアラブル”なコンテンツだ。
実際の購入者数は限定的でも、キャンペーン自体がブランドイメージの向上に大きく貢献するだろう。
「昔は良かった」という懐古主義に寄り添いながらも、最終的には前を向かせる。この絶妙なバランス感覚こそが、このキャンペーンの真骨頂だろう。
なお、ちょっと調べてみるとフォードも同様のキャンペーンをアメリカで展開していた。
2021年、フォードはMustang Mach-E GT向けに「Mach-Eau(マッハ・オー)」という香水を制作した。
フォードの調査によれば、ドライバーの5人に1人がEVに乗り換える際に最も恋しくなるのがガソリンの匂いで、70%近くが何らかの形でガソリンの匂いを恋しく思うという結果が出ているそうだ。
どうやらEVへの移行期において自動車メーカーは技術だけでなく、人間の感覚や記憶にもユーモアを持って寄り添っているようだ。
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