企業が培った技術や経験を活かし、他ジャンルに進出するケースは多い。自動車メーカーにも多くの進出例があるが、ホンダはなんと芝刈り機のカテゴリーにも参画。その気合いの入りっぷりも凄いという。
文:古賀貴司(自動車王国) 写真:ホンダ
【画像ギャラリー】技術の結晶じゃんこれ!! ガチすぎホンダの芝刈り機の姿がコレ(4枚)画像ギャラリー四輪の技術が惜しみなく投入された芝刈り機
どうやらホンダが「芝刈り機市場」で本気を出しているようだ。
家庭向けロボット芝刈機「ミーモ(Miimo)」と、2026年夏発売の商業向け大型自律走行芝刈機「プロジション・オトノマスZRT(ProZision Autonomous ZTR)」で万全の体制を築いているのだ。
特に後者は、四輪開発部門の技術が惜しみなく投入されている。プロジション・オトノマスZRTには独自のトラクションコントロールシステムが搭載されている。
左右の駆動輪を独立制御してスリップを抑制し、丘陵地や斜面でも安定した直進性を実現する。この技術は四輪車開発部門との協力で生まれたもので、自動車で培ったノウハウが芝刈り機に活かされている。
さらに360度センシングシステムも圧巻だ。LiDARセンサー4基とレーダーセンサー4基を組み合わせ、静止物と移動物の両方を検知するという。自動運転技術が求められる安全性基準を、四輪車と同じレベルで追求しているわけだ。
プロジション・オトノマスZRTは商業用ゆえに、ホンダ渾身の力作なのかもしれない。60インチ(約152cm)の刈り幅を持ち、1時間当たり約1万2000平方メートルの芝刈り能力を誇る。これは東京ドームのグラウンド面積に匹敵する広さである。
高性能な自動運転と手動運転の切替が可能
自律走行の精度は驚異的だ。GNSS(全球測位衛星システム)による測位に地上基地局からの補正情報を組み合わせ、プログラムされた経路から3センチ以内の誤差で走行する。
この精度があってこそ、刈り残しのない美しい芝刈りの仕上がりが可能になる。
電動パワートレインも強力。5つの電動モーター(刈り刃用3基、駆動輪用2基)が48ボルトのブラシレスシステムで駆動される。
リチウムイオンバッテリーは19.2kWhの容量を持ち、1回の充電で4時間以上、最大約6万平方メートルの芝刈りが可能である。
プロジション・オトノマスZRTが革新的なのは、その操作思想かもしれない。「ティーチングモード」では、熟練オペレーターが一度芝刈りを実施するだけで、その走行軌跡を機体が自動的に記憶する。
衛星測位と車輪速、加速度センサーのデータから経路マップを生成し、クラウドサーバーに保存するのだ。
「プレイバックモード」では、保存された経路マップを再現する。つまり最高の技術を持つオペレーターの“クローン”を作り出す学習システムと言える。
しかも経路マップは複数保存でき、複数の機体で共有できる。もちろん、手動運転との切り替えも可能だ。
状況に応じて人間が介入できる柔軟性を残している。これは完全自動化一辺倒ではなく、実用性を重視したホンダらしい設計思想である。
商業用とは異なる方向性の家庭用芝刈り機「ミーモ」
一方、家庭向けのミーモは全く異なるアプローチを取る。エリアワイヤー(境界線用のワイヤー)で作業範囲を決め、毎日少しずつ芝を刈り続ける方式だ。電動ならではの静音性を活かし、夜間作業も可能にしている。
刈った芝は細かくなって芝生の間に撒かれるため、廃棄する手間がない。ランダム、ジグザグ、ミックスの3つの走行パターンを持ち、刈り残しを検知すると集中して刈り取る。
2012年の欧州発売以来、改良を重ねながら進化を続けてきたミーモは、「安心して任せられる」「簡単に使える」「快適に過ごせる」という3つのコンセプトを体現している。
プロジション・オトノマスZRTとは対照的に、家庭の庭という限られた空間で日々コツコツと働くパートナーである。
ホンダが電動芝刈機に力を入れる背景には、2050年までにすべての製品と企業活動でカーボンニュートラルを実現するという目標があるからだ。
北米では広大な芝地を持つゴルフ場や公共施設、造園企業が多く、現状はガソリンエンジンの乗用芝刈機が主流。
来年お目見えするプロジション・オトノマスZRTは、こうした商業分野のゼロエミッション化に貢献する製品として開発された。
同時に、造園管理企業が直面する労働力不足や運営コスト上昇という社会課題への解決策のひとつでもある。自律走行という新たな価値を加えることで市場における存在感をさらに高めようとしている。
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