クルマにまつわる「発行物」はこの数年でひそかに大きく変化していることをご存じだろうか。フロントガラスやリアウインドウに貼るステッカー類、そして車検証そのものまで、気づかぬうちに様変わりしている。今回は、そんなクルマの発行物の最新事情を紹介していこう。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(メイン画像=YK-image)
【画像ギャラリー】新紙幣にはもう慣れた?クルマにまつわる発行物も結構変わってるの知ってる?(6枚)画像ギャラリー車検証は小型化し、ステッカーの位置も変わった
もっとも大きな変化といえるのが、車検証の電子化だろう。2023年1月から普通車を対象に、翌2024年1月からは軽自動車を対象に、従来のA4サイズだった車検証がICタグ付きのA6サイズへと小型化された。
これまで車検証に記載されていた所有者情報や有効期間といった詳細情報はICタグに格納され、券面には最小限の情報のみが表示される形になっている。情報を確認するには専用の車検証閲覧アプリやICカードリーダーを使う必要があり、車検証はいわば「読み取るもの」へと役割を変えつつあるわけだ。
手のひらに収まるサイズになったことで、車内での保管はぐっと楽になった一方、ICタグを折り曲げてはいけないなど、これまでとは異なる取り扱いの注意点も生まれている。
これに合わせて、フロントガラスに貼る車検ステッカー(検査標章)の貼付位置も見直された。従来はフロントガラス中央付近に貼ることとされていたが、2023年7月以降は運転席側のフロントガラス上部に貼るよう変更された。
これは、うっかり車検切れを起こさないよう、ドライバーの視界に入りやすい位置に変更したことが理由とされている。指定の位置に貼っていないと道路運送車両法違反となり、罰則の対象になり得るため、位置の見直しは意外と見落とせないポイントだ。
車庫証明ステッカーはついに廃止に
リアウインドウなどに貼られていた丸い「保管場所標章」、いわゆる車庫証明ステッカーも、2025年4月1日をもって交付と貼付の義務が廃止された。このステッカーは1991年に導入されたもので、車庫証明を取得した車両であることを警察が目視で確認できるようにする目的があった。
しかし近年は、ナンバープレートの情報から保管場所を照会できるシステムが整備されたことで、目視確認の必要性が薄れ、廃止に至ったという経緯がある。なお、車庫証明そのものの取得義務は変わらず残っているため、新規登録や住所変更の際には従来どおり申請が必要だ。ステッカーの交付手数料がなくなった分、わずかながら費用負担も軽減されている。
【画像ギャラリー】新紙幣にはもう慣れた?クルマにまつわる発行物も結構変わってるの知ってる?(6枚)画像ギャラリーJAFにまつわる発行物の変遷
ロードサービスでおなじみのJAFに関する発行物も、時代とともに姿を変えてきた。かつてはフロントグリルに取り付ける金属製の「JAFバッジ」が会員の証として親しまれていたが、車両デザインの変化でグリルに装着できる車種が減ったことなどから、平成7年(1995年)にバッジの無料配布は終了し、現在はステッカーによる表示に代わっている。
さらに近年は、会員証そのもののデジタル化も進んでいる。スマートフォンアプリに登録すれば、プラスチック製の会員証と同様のサービスを受けられる「デジタル会員証」が利用可能になった。
また、長年の会員に向けて配布されてきた、在籍年数に応じて色分けされた永年継続ステッカー付きの会員証についても、2025年4月から色分けそのものが廃止され、デザインが刷新されている。長く続いた「色で年数がわかる」という仕組みが、ここでも一区切りを迎えた形だ。
新紙幣の登場は誰の目にもわかりやすい変化だったが、クルマにまつわる発行物の変化は、意識していないと気づきにくいものばかりだ。車検証の電子化と小型化、車検ステッカーの貼付位置変更、車庫証明ステッカーの廃止、そしてJAFの会員関連グッズのデジタル化。いずれもデジタル化や行政手続きの効率化という時代の流れを背景にした変化である。
ふだん何気なく見ているフロントガラスやリアウインドウのステッカー類にも、こうした社会の変化がひっそりと表れているのだ。
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