2017年3月期の決算では売上高3兆3260億円。全世界販売台数で過去最高を記録したスバル。
国内でもアイサイトなどの先進技術でリードし勢いは増すばかりだ。……が、将来のことを考えると、車好きからの期待値が高いからこその不安もある。
本記事ではスバルに造詣が深い自動車評論家・片岡英明氏が4つの『不安の種』について解説。
解説:片岡英明/写真:SUBARU
ベストカー2017年5月26日号
スバリスト的4つの『心配の種』
1.パワーユニットが遅れていないか?
スバルのパワーユニットはよくも悪くも水平対向エンジン一本槍。電動化が遅れているし、ディーゼルの開発もやめている今、確かにそこは心配だ。
最新の4気筒エンジンも他社と比べて「並み」のレベルになっている程度。実用燃費では競合車に劣っている面もあり、今後はさらに頑張らないと厳しい。
【心配度70%】
2.CVTにこだわってばかりで大丈夫か?
個人的にはCVTよりDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)のほうが走りは楽しめると思うが、燃費のこともあって難しい。
また、DCTはトラブルが出やすく、信頼性を考えるとCVTがいいという判断なのだろう。
そのこだわりの強さからもわかるとおり、スバルのCVTの実力は相当なもの。ステップATのような変速感を出すワザもあるし、さらに新しい制御を入れられれば、CVTでも楽しい走りは実現できるだろう。
それよりもMTの設定が激減しているのが心配。今はWRX STIとBRZだけで、BRZはアイシン製。今後スバルはMTを自社開発できるのか、そっちのほうが心配だ。
3.売れ筋のコンパクトカーにオリジナル車がない
実はスバルに関してはこれが一番心配。OEM供給を受けているモデルは売っているが、当然競争力はない。
スバル自身はやる気があっても、提携関係にあるトヨタ(とダイハツ)の意向もあって、なかなか自由にできないのが現状。トヨタの後ろ盾は経営上安心材料になるのは確かだが、自由に商品企画できない制約も生じる。
スバルが作る5ナンバーサイズのコンパクトカーをぜひ見たいというファンは多いはず。フィアット500のような2気筒ターボもおもしろいし、スバルならきっと他社にはない魅力を持つクルマを作ってくれると思うのだが。
また、過去にスバルの5ナンバー車を買ったユーザーが、その代替えとなるクルマを選べないのも販売戦略上、マイナスだ。
【心配度120%】
4.スバリスト好みの個性的なモデルが減っていないか?
近年のスバル車はまとまりのいい優等生グルマが増えてきて、うるさ型が多いスバリストには物足りないクルマが多い。
前述のようにMTの設定もなくなってきて、不満が募っているファンは私の周囲にも少なくない。
そこにこだわらない戦略でスバルは成長してきているのはわかるが、すべて優等生グルマというのもつまらない。コアなファンが長い目でスバルを見守り、育ててきてくれたからこそ今があることを忘れず、そんなファンも大事にしてほしいと願う。
【心配度100%】
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