熱狂的なファンが多いといわれるクラシックMINI。現在のBMWのMINIも楽しいクルマだけど、やっぱり本当は元祖のMINIが好きって人も多いはず。
小さなボディながら大人がしっかり乗れるキャビン、そしてゴーカートフィーリングといわれた楽しいハンドリング。そんないまも色あせないクラシックMINIに迫ります。
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、BMW
ベストカー2017年8月10日号より再録
天才イシゴニス先生が生み出したFF車
今でも熱狂的なファンに愛される旧ミニ。最初に世に出たのは今から約半世紀前の1959年のことだ。
設計者は国営企業BMCの技術者だった英国人のアレック・イシゴニス。BMCとはブリティッシュ・モーター・コーポレーションのこと。
つまりミニはVWのタイプ1同様に、国策として開発されたクルマだった(日本の軽自動車も同じ)。開発の指標は『大人が4人乗れ、なおかつ小さいクルマ』。
今では軽自動車もあるから、小さいクルマを作るのはそう難しいものじゃないだろうと思うかもしれないが、当時はそれこそ超難問。
そこでイシゴニス先生が考え出したのがミッションをエンジン下に持ってきて一体化させ、プロペラシャフトを省略、さらに横置きにするFFだった。
またサスペンションも邪魔だからとラバーコーンにしてしまった(ラバーコーンの発案は開発に参加していたアレックス・モールトン博士)。今でこそFFは当たり前の技術だが、量産車のスタートはミニだったわけだ。
当時、BMCにはモーリスとオースチンという2つのブランドがあり、それぞれモーリスミニマイナー、オースチンセブンの名で売られた。
今のアルファード、ヴェルファイアみたいなものだ。そしてこれが大ヒット。アレヨアレヨという間に売れてバリエーションもどんどん増えていった。
クラシックミニの変遷と終幕
旧ミニの場合その変遷は、大きく分けて1959~1967年のマーク1時代、1967~1969年のマーク2時代、1969~1977年のマーク3時代に分けられるが、基本スタイリングは大きく変わらないものの、フロントグリルや、サスペンション、テールランプなどが変わっている。
またエンジンは当初、850ccだったが、1L、1.1L、1.3Lとバリエーションを増やし、タイヤも当初は10インチだったものが、最終的には12インチへと拡大している。
ボディバリエーションも時代とともに増えて、ステーションワゴンのカントリーマン、オープンモデル、商用のバン、ピックアップと増え、ジープ風のモークも登場。多くのユーザーの使い勝手に応えた。
いっぽうモータースポーツでも大活躍。小さなボディ、クイックなハンドリングに目をつけたレーシングカー開発者のジョン・クーパーは、1000台の限定モデルを生産することをメーカーに進言。
そこで誕生したのがミニクーパーだった。そしてあのモンテカルロラリーにも参戦し、なんと1964年、1965年、1967年に総合優勝を獲得した。
さらに1970年代に入り当時の所有者であったブリティッシュレイランドはイタリアのイノチェンティ社とライセンス契約を結び、ミニのプラットフォームにベルトーネデザインのハッチバックボディを載せたイノチェンティ90/120を開発。日本ではチェッカーモータースが輸入を行い販売された。
BMCが世に送り出して以来、世界で愛されることになったミニだが、2001年最終モデルとして1500台が販売され、42年間、累計530万台を販売しその幕を落とした。と同時にBMWが同年新時代のミニを発売開始。
バトンタッチされる。BMWの手に渡ったのはその6年前の1995年だった。
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