運転中ゲリラ豪雨、水害に遭遇したら覚えておくべき5つのこと

運転中ゲリラ豪雨、水害に遭遇したら覚えておくべき5つのこと

 2017年7月には九州北部にて集中豪雨により大きな被害が発生し、8月に入ってからは関東でも局所的な豪雨が発生しております。

 JAFの調査によると、毎年車両の水没による被害は数十件発生しており、また近年多発するゲリラ豪雨によって冠水、車両故障、そこから遭難するケースも発生しているとのこと。

 本企画では「もし運転中にゲリラ豪雨が発生した時に、覚えておいたほうがよいこと」をまとめました。もしものためにぜひ一読し、心に留めておいてください。

文:ベストカーWeb編集部 監修:渡辺陽一郎 写真:Shutterstock.com


■【大前提】「冠水路には入らない」を徹底する

 自動車にとって「冠水した道路(路面が水に覆われた状態)」の一番恐ろしいポイントは、「路面の状態が視認できないところ」にあります。

 まず水深がわからない。底には深い溝があるかもしれないし、当然白線も見えず、マンホールのフタが開いているかもしれない。鉄骨が沈んでいるかもしれないし、車両止めがあるかもしれない。

 なので原則として「冠水路には極力入らない」を徹底しましょう。

 冠水する道路のポイントはアンダーパスや道路がえぐられているような地形の場所(いわゆるスリバチ状の道路)なので、そういった場所にはなるべく近寄らないようにしましょう。

 遠方からでは冠水の状態が分かりにくいことも、被害を拡大させる原因です。アンダーパスが冠水して被害に遭遇した人に話を聞くと「気付かずに進入したら、クルマが突然(冠水によって)浮き上がった」というコメントがとても多いです。浮き上がった後、水深が深い場所では、クルマは徐々に沈んでいきます。

レスキューマン

■①やむをえず入る場合は「ゆっくりと」が鉄則

 そうはいっても、どうしても冠水路を走らなければならない状況に陥るケースもあるでしょう。その場合は「極力ゆっくり走り抜ける」を徹底しましょう。

 これはJAFが実際にテストした結果があるのですが、冠水路を走行する場合は速度を上げて一気に走り抜けるよりも、ゆっくり走ったほうがエンジン停止のリスクは小さかったのです。

 速度を上げると、車両が跳ね上げた水が吸気口からエンジン内部に入り、エンジンが停止、故障、あるいは損傷することになります。

 また前述のように路面が見えない状態だと、何が沈んでいるかわかりません。(焦る気持ちもわかりますが)ゆっくり進んだほうがはるかに安全といえます。

■②アイドリングストップはオフに!

 道路に貯まった水がエンジン内部に入ってくるのは、吸気口からだけではありません。車両後部のマフラー(排気管)を通って入るケースもあります。

 まず大前提として、マフラーの位置まで冠水した時点でいずれ「水圧>排気圧」となり、排気ができずにエンジンは止まります。

 ただエンジンがかかっていれば(排気圧があるので)ある程度の水圧まではエンジン内部まで水は入ってきませんが、最近の車両にはアイドリングストップが標準装備されているケースが多く、停止してアイドリングが止まると水がエンジン内部まで入ってくる場合があります。

 冠水の危険がある場所を走行する場合、アイドリングストップはオフにしておきましょう。

■③緊急脱出ハンマーの位置確認(なければ買いましょう!)

 JAFの実験によると、水深60cmに達した場合、(水圧によって)ドアの開閉には通常の5倍以上の力が必要となることがわかっています。女性やお年寄りは開閉が難しいでしょう(ミニバンのスライドドアの場合は男性でも難しい)。

 こうした場合に有効なのが「緊急脱出用ハンマー」です。

 高級車には標準装備されているケースもありますが(助手席側の足元等)、オプション装着の場合もあります。まずは愛車に搭載されているかどうかを確認し、ない場合は(2000〜4000円程度なので)購入をお勧めします。

 裏技として本誌で「10円玉を複数枚、靴下に入れてガラスにぶつける」という実験をしたこともありますが、慣れていないとなかなか割れるものではありませんので、やはり(シートベルトカッターも付いていることだし)緊急脱出用ハンマーの常備が推奨です。

レスキューマン
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【たとえばこんな緊急脱出ツール】

 ※緊急脱出ツール「レスキューマン3」を販売する丸愛産業株式会社によると、衝突・追突・横転事故、ゲリラ豪雨などの自然災害により車内から脱出できなくなる「車内缶詰事故」の被害者数は年間19,350人におよび、また車内缶詰事故により焼死・溺死した人は140人に達するとのことです(平成27年/消防白書・人口動態統計より)

 なお、ハンマーでガラスを割る場合には、フロントガラスではなくサイドウィンドウを割るようにしましょう。フロントガラスは合わせガラスで粉々になりづらく、割るのに大きな力が必要です。

■④脱出したら来た道を戻るべし!

 もし車が停止して車外への脱出に成功したら、落ち着いて路面を確認し、「来た道を戻ること」を優先させましょう。

 何が落ちているか、路面がどうなっているかわからない道を歩いて避難するよりは、とりあえずそこまでは走ることができた道を歩いたほうが、安全性は高くなります。

 動転していると忘れがちですが、「来た道を戻ったほうがまだ安全」はぜひ覚えておきましょう。

■⑤冠水して止まった車のエンジンはかけない

 いったん水に浸かった車両は、エンジンをかけたりイグニッションをオンにすると破損が深刻化したり、感電したり、発火する危険性があります。

 現代の車両は防水性能が高く、感電や発火のリスクは以前より格段に減っておりますが、それでもハイブリッドカーの普及などもあってバッテリーの高電圧化・大容量化が進んでおり、万が一のリスクは高まっています。

 水に浸かった車両は自分で移動しようとせず、どうしても動かさねばならない緊急時は消防署へ、そうでない場合は最寄りのディーラーか修理工場へ連絡しましょう。

 以上、これからの季節はまだまだ台風や豪雨による冠水被害が発生する可能性があります。万が一のために、ぜひ覚えておきましょう

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