ベンツの本気をフランクフルトショーで見た!! ベンツの電動化はまちがいなく加速していく

■メルセデスが立ち上げたEVブランド「EQ」とは?

  そうした背景を踏まえ、ダイムラーは’16年のパリモーターショーで「CASE」を表明、同時に電動化ブランドである「EQ」(HV、PHV、ピュアEVなどを示す新ブランド)も発表した。

 ここでのCASEとは、Connected(ネット社会とつながる)/Autonomous(自律自動運転技術)/Shared(カーシェアリングなどでの共有化)/Electric(電動化)の4つの柱を表わした言葉だ。

 このうち、「E」の電動化では「EQ」ブランドとして2022年までにすべてのメルセデスベンツが販売する全モデルに対して電動パワートレーンを導入(総数は10車種50モデル以上)するとした。

 そして、この流れを受けた今年のフランクフルトモーターショーでは、EQブランドのコンセプトカーとして「Smart vision EQ fortwo」が発表されたのだ。これは個人ユーザー向けの販売を想定していない。

 「S」のカーシェアリング用として開発が進められるコンセプトモデルだ。また、「A」の自律自動運転技術も搭載していて、’15年に発表された自動運転技術を搭載したコンセプトカー「F015 Luxury in Motion concept」をベース(F015は自動化レベル4想定)に、さらに段階を進めた自動化レベル5(完全自動運転技術)を搭載する。

 自動化レベル5を踏まえたカーシェアリング車両なのでステアリングはなく2人乗り。「C」のネット社会とつながる機能を活用した公共交通機関のような相乗りライドシェアも考慮されていて、その際はシート間にアームレストが立ち上がりパーソナルスペースを確保する。

 また、V2V(車々間通信)だけでなく、ボディの大部分に液晶画面を採り入れ自車周囲の歩行者たちともコミュニケーション(V2P)を図るなどF015で披露された技術も搭載される。

 最後に、一連のダイムラーの動きをこう読んだ。電動化/内燃機関/燃料電池の3本柱を将来有望なパワートレーンとして捉えていることを今回のIAAで発表したうえでCASEという大枠とEQという具体案を提示した裏には、将来のモビリティ社会像をライバル各社に先駆け次の若い世代へ完成されたメッセージとして送ること。

 つまり〝ワクワクさせること〟が第一の目的として存在し、さらにそのワクワクを通じてダイムラー・ファンの心を捉え続けようと試みる第二の目的までもが仕込まれているのではないか……。

 だとすれば、これこそディーターツェッチェ博士ならではの高等戦略だ。効果・効率だけを謳った乗り物はダメになる。やはりそこには夢が必要であることを痛感した取材となった。

コンセプトEQAの二次電池は60kWh以上のリチウムイオンバッテリーで、航続距離は400kmになる
コンセプトEQAの二次電池は60kWh以上のリチウムイオンバッテリーで、航続距離は400kmになる

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